森小路の公園
地図を見て気になっていた森小路の公園を見に行きました。
これは新森中央公園(新森小路公園)。森小路の土地区画整理に合わせて、また失業応急事業として、昭和7年(1932年)に整備された公園です。
より大きな地図で 近代の公園 を表示
何が気になったのかというと、この街区割です。
中央下にあるのが、新森中央公園で、この公園が面する2つのロータリーをもつ交差点から放射状に道路がのび、この公園のあたりが中心に計画されています。
(追記)森小路土地区画整理組合は、関西土地(株)の支配人が組合長となり、昭和4年設立、昭和8年換地処分(新しい土地に権利が移動)。開発規模は18万8000坪。地区西側を関西土地(株)が設計したので、半分だけ放射状街区になっているそうです。昭和5年の区画整理完了後に、関西土地(株)により、森小路住宅地13万坪の経営が始まり、昭和7年頃の京阪新線開通後、著しく発展したようです。第一期の敷地規模は20〜163坪。住宅地、商業地とともに和風門構え付き貸家(四戸建、五戸建)もあったそうです。
ー以上、和田康由・寺内信両氏の「戦前期における土地会社の住宅地経営ー関西土地株式会社の場合ー」、日本建築学会計画系論文集 第499号、p155-162、1997年9月より。
関西土地(株)は大美野田園都市で有名な会社です。
これが北側のロータリーです。
実際には2つのロータリーの間は車が通れないので、1つのロータリーとして機能しています。
そして公園の焦点となる場所にはカナリーヤシ(フェニックス)が、クスノキの巨木に囲まれながら、存在感たっぷりに構えています。
周辺にはこのような洋館付き住宅もありました。
さて、今回新たに、昔の公園の名残ではと気づいたものがあります。
それは水飲み場。
逆円錐と卵形の台の組み合わせで、後ろには小さな子供用と思われる足場が飛びだしています。また逆円錐の側面の溝を伝って、前面の受け皿に排水が流れるようになっています。
なかなか美しいデザインだと思いませんか?
近くの新森北公園(昭和19年開園)にも
同じく近くの清水南公園(昭和32年開園)にもあります。
もちろん同じ大阪市の公園ですから、同じものがあって不思議ではないのですが。
ただ、先日見た東京の元町公園の水飲み場、それがそっくりなんです。
どちらも昭和初期のものなのでは、と期待しますが、まだ確定的なことは言えません。
もう少し事例を集めようと思います。
(追記)清水南公園は昭和32年開園と分かりました。(2008.7.8記)
(追記) 京阪沿線森小路経営地の資料が手に入りましたので追記しておきます。
森小路経営地のパンフレット
地図のうち、新森小路公園とロータリー部分です。
公園の外周にある長方形はベンチ、左にある囲みはブランコ、黒く塗りつぶされた四角は休憩所かトイレと思われます。
パンフレットに載っている公園の写真。
まだ木が育っていないので、さびしい公園です。
新森小路市場の写真。 (2010.2.11記)
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