名張のお店はもてなし好き?
名張では観光企画として「なばり町和菓子食べ歩き」という企画を実施しています。
これは、500円でクーポンを買うと、参加している和菓子屋さんや酒屋さん、お茶屋さん9店のうち、好みの5店で和菓子やお茶などをいただけるというものです。やや恥ずかしいのですが、ものは試しで参加してみました。
最初は鳥居近くの「はなびし庵」へ。酒屋さんです。
前を通りがかっただけで、ご主人に招き入れられました。築170年の町家や江戸時代の夫婦の見事な生人形(いきにんぎょう)、戦前の観光絵はがき(大量です)などを見せていただきました。この時代、絵はがきを買うのは、今の時代、写真を撮るような感覚なのかもしれません。観光地に混じって、○○銀行の本店など建築の絵はがきもあります。クーポンを出す前にお茶をいただき、クーポンで地酒と酒肴をいただきました。(地酒はそれでなくても試飲できます)
ご主人の話で、「そこに板東英二さんが座られて・・・」、まあこういうお店だから取材にも来るだろうなと思ったのですが、やがて分かったのは、ついさっきのことだということ。「板東さんどっち行った?」と聞きに来る中学生グループがあったり、この日は静かな町がちょっと浮き立っていました。名古屋のCBCテレビが撮影に来ていたようです。
新町の星安新町店は月2回の営業で、この日は営業日ではなかったのですが、通りがかると暑いなか鯛焼きを焼いています。またも呼び止められ、和菓子とタンポポコーヒーの接待を受けてしまいました。とうとうクーポンは出しそびれ。撮影のために特別に店を開けたとのこと。板東さんさまさまです。ここも古い町屋で、中を見せていただきました。
街のあちこちで「さっき板東さんが・・・」といううわさ話を聞きつつ、街を歩き回った後に立ち寄ったのが、トップの写真にかかげた、「お茶の福田本店」。大正8年(1919年)の創業。左下にある線路が見えますか? 昔は店頭で茶農家から買い付けた茶葉を、トロッコで奥の加工場に運んでいたそうですから、かつての繁盛ぶりがうかがえます。今は静かな通路に座ると、ひんやりした風が抜けていき、とても快適です。
お店のご主人と奥さんが、水出し煎茶、そして低温で丁寧に淹れた煎茶を出しながら、おいしいお茶の入れ方や商売の話などいろいろなお話をしてくださいました。大阪に卸の仕事に出かけた話、某関西系スーパーにお茶を卸していた話、小売りの話などなど、この80年は激動だったようです。今は静かに営業されています。
出されているお茶は、京都と奈良のお茶のブレンド。このあたりの方の味の好みは関西系で、今は伊勢茶は扱っていないそうです。行政区は三重県なので、行政からは伊勢茶も売ってくださいと言われるそうですが。
お茶の値段の違いは?とたずねると、「香り」の違いとのお返事。味は肥料でうまみを出せるけれど、香りは難しいとおっしゃっていました。
しまいには、秋になったら長谷寺に行くといい、など観光案内までしていただきました。
秋にまた来るのも良いかもしれません。
すっかり長居をしてしまいました。
帰ろうとして表に出ると、店頭にこんな石の「猫」が置いてあります。名張の街のあちこちで見かけるので気になっていました。
「お茶の福田本店 おぶう上ってだーこ」と書かれています。「お茶召し上がってください」でしょうね。「だーこ」は伊賀弁です。
こういうのは作者がお店の人と話をしながら作ると思いますでしょう。
ちがうんです。
正解は、ある朝、店の前に置いてある、です。
お店の方も誰が作っているのか知らないそうです。
素敵なプレゼントの仕方!
名張を訪ねる方はぜひ道端の白い「猫」に注目してみてください。
この日は板東さんのおかげも少しはあったのかもしれませんが、どうも名張のお店はもてなし好きらしいと知ることができました。
また涼しくなったら再訪するのもいいかも、と思っています。
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