地元素材の擬洋風(松江・興雲閣)
今回ご紹介するのは、松江城二の丸に建つ、興雲閣です。
明治36年に工芸品陳列所としてオープンしましたが、その実、明治天皇の山陰巡幸の行在所として建てられたそうです。でも巡幸は中止になり、代わりに皇太子(のちの大正天皇)が滞在、それに合わせて改修されたそうです。
以後、展覧会場や教育委員会の事務所に使われ、昭和48年以降は松江郷土館になっています。
入り口の車寄せ部分。
建築としては擬洋風建築で、県の技手が設計したと推定されるそうです。
石材などは地元のものが使われています。
さらに拡大。柱を支えるのは、松江から近い、大根島の島石ー多孔質で黒色の玄武岩質安山岩です。こんなに穴だらけで大丈夫なの?と思いますが、壁や柱を支えているので、強度は十分なのでしょう。床面には来待石が使われています。松江らしい取り合わせです。
床下の換気口は吉祥模様の分銅をかたどっているようです。
このあたりの部材も大根島石。
こちらは2階部分。車寄せの真上です。ここは拝謁所として使われたそうです。
なお、郷土館には、昔の貴重な写真などが展示されていて、参考になりました。
白潟の大火や、のち住宅地になった競馬場の写真、橋の模型などを見ることができました。
2階のベランダ部分。かなり密に持ち送りを入れています。
隣は松江神社。
瓦屋根には千鳥破風。懸魚までぶらさがって和風ですが、換気口の○と波紋模様?は洋風ですね。
さて、松江城まで来たので天守閣にも登ります。
天守閣は1607年の築城当時のものらしいです。
天守閣は他のお城と同様、博物館になっています。街歩きする人に参考になるのが、昭和34年当時の街並みを記録した巨大なジオラマ。映画館の位置や当時残っていた建物などが分かり、非常に参考になると思います。
江戸時代のジオラマもあります。
県立博物館は出雲に移転してしまいましたので、松江の街歩きの参考になるのは、松江郷土館と松江城天守閣の2ヶ所だと思います。
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