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2006年10月30日 (月)

空き地のアート(からほりまちアート2006)

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いきなり何のこっちゃという写真から始まりますが、これは、からほりまちアート2006の作品の1つです。
大阪市中央区谷町6丁目界隈、いわゆる空堀の町そのものを会場に、アーティストたちが自分たちの作品を展示(一部販売)するイベントです。今年6回目なのですが、今まで日程に縁がなく、初めての参加になりました。お店の方の話では昨年より少ないそうです。でも私はこれぐらいがいいかなと思いました。のんびりした雰囲気が出るので。会場は50箇所もあって回りきれません。空堀はご存じの方も多いと思いますが、戦災を受けておらず古い長屋がたくさん残っている地域です。

冒頭の写真は、痛村竜二さんの立体作品を中から見上げたところです。

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こちら、外から見た写真だともう少し状況が分かるでしょうか。でもまだ説明が必要です。写真に写ってませんが、手前に黒いストローが置いてあって、これを赤いひもで囲われた奥にある、半球状の粘土(マーブル模様)に刺してください、そこからどんな景色が見えますか?という趣向です。線香を供えるような気分です。

この方は建築系の方で、他のアート系の方とはちょっと違う表現だとご自身おっしゃっていました。
この「隙間」を意識させてくれる、とくにここにはさえぎるものがないのだと気づかせてくれる、ユニークな展示でした。アーケード商店街から脇に入った路地の奥で、視界がすぽっと開けています。

今回、印象に残った作品は、いずれも空き地を使った作品でした。
一番気に入ったのが、写真は撮れませんでしたが(お願いできなかった)、エンドウサクラさんの立体作品です。同じように路地を抜けていくと、突然ぱっと開けて、子供ほどの巨大な猫の写真が置いてあってどきっとします。長屋に囲まれた中庭のような空間に、井戸があり、祠があり、そして作品としてサッシなどの廃材が積まれ、白い洗濯物が干してあり、白いテレビが置いてあります。つまりはかつて存在した家の亡霊のようなものがあるわけですが、その向こうには現実のカラフルな洗濯物が干してあるんです(作品ではありません)。さらに奥にはマンションがそびえています。見事に現実の空間を借景していました。私には気持ちのよい中庭でした。

今回、作品はこのような空き地を好んで展示スペースに使っていました。建物に囲まれた、気持ちのよいスペースです。でも、もともとは建て詰まっていた場所で、中庭は家が取り払われた結果です。
この接道条件では、「中庭」に何か建てる訳にはいかないでしょう。真ん中の土地の所有者には気の毒ですが、周りの人には快適だと思います。期せずして囲み型の住宅配置になっています。

このスペースを何かで埋めるのか、どうにか中庭として残すのか、(あるいは一体的に建て替えられるのか)その猶予の時間でアートを楽しみながら考える機会をいただいているようでした。

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