三条あかり景色の実験
月曜日まで3晩、京都の三条通で開催されているイベント「三条あかり景色」を見に行ってきました。
近代建築が建ち並ぶ三条通の壁面に、いくつもの映像を投影するのが、イベントの中心です。
このイベントは今回3回目。私が見に行くのは初めてです。
直接、目にして思ったのは、このイベントは非常に実験的だということ。未完成というより、参加した人、見に来た人がここからヒントを得て、次の動きに生かせるという意味での「実験的」です。
最初に投影を始めたときは地元の理解を得るのが大変だったでしょうね。
まず、どんな映像が投影されているのかを紹介します。投影されているのは、古い映画、学生のショートムービー、そして建物と一体化した映像作品などです。映像は音のないものが多いです。街との共存には必要なことでしょう。
古い映画の上映。
通りに面する京都文化博物館のフィルム・アーカイブが使われています。この写真は1927年の日活京都映画『槍供養』の断片。いいところで終わってしまうので、続きが気になります。
この場合、スクリーンにおあつらえ向きの白い大壁が使われています。近代建築や古い町家に投影することもあれば、このように、新しい建物の壁に投影することもあります。
次に学生のショートムービー。
この場合、スターバックスの入っているビルの壁面に投影されています。この屋外席は特等席ですね。
かと思うと、古い足袋屋さんの黒壁に投影される作品もあります。
黒壁であったり、空調室外機があったりで、見にくいのですが、白壁にばかり映していては面白くないのでしょうね。このあたりも実験的に感じます。
3つめに建物と一体化した映像作品。
これ分かります? 元々は白い石の部分にぴったり合うように、投影で色を付けています。立体に投影するので、かなり難しいのではないでしょうか。なかなかうまく重なってます。しかも動きます。
場所はトップの写真と同じで、京都文化博物館の別館・旧日本銀行京都支店です。
別パターンでこんなのもあります。壁面に六角形の飾りがあるので、それを一つ一つのマス目に見立てて色を付けています。これも動きます。
他にもいろんなパターンがあります。
面白いなと思ったのは、ビルの壁面を泳ぐようなアニメーション。ビルからビルに泳ぎまわっている人がいたら楽しいかも。
※関連イベントとして、コンサートやスタンプラリー、抽選会などもあるのですが、それは説明省略しました。
このイベント、
・学生の発表の場
・見物客の楽しみ(発見の楽しみも)
・建物にスポットを当てる
・交通実験(狭い三条通、通行止めにはしてないんですよ)
などなどの狙いがあるようです。
そして、ユニークなのは、映像を投影しているだけなので、スイッチを切ればもう元の建物に戻ることでしょう。
しかし、建物の見え方は以前とは違っているはずです。年々進化しているらしいこのイベントがどんな動きにつながるのか、実験の続きが期待されます。
会期がまだ2日ありますので、興味を持った方はどうぞ。
しかし、台風が気がかりですね。
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コメント
なかなか盛況だったみたいですね。
建物への光による彩色は、以前神戸などであった「クロモリット」と似ていますね。
http://www.kobe-photo.com/htm/kuro.html
原理は同じなのかな?
投稿: ひろ009 | 2006年9月18日 (月) 09:40
あぁ京都ですねぇ。
京都って非常に保守的で排他的な街の一面、
非常に新しもの好きの一面が有るんですよねぇ。
前者は、未だに曜日に関係なく祇園祭を催行する所
『観光客のためにやってるんとちゃいます。
祇園さんはウチらの祭りどす』って意志。
その反面、『まぁ若い人のやることやし
面白そうやからやってみたらよろし』という
鷹揚な気質もありますね。
そんな気質が上手くかみ合うと、京都大学の研究者とか、
任天堂のゲームウォッチとか、面白いものが出てくる
不思議な街ですね < 京都
投稿: 虹のパパ黒山羊 | 2006年9月18日 (月) 10:44
ひろさん、こんにちは。
結構な人出でしたよ。一緒に行った地元の友達が「いつもはこんなにいない」って言ってました。
神戸のクロモリットも原理は同じだと思います。
神戸のは一段と高度な着色をしているみたいですね。
投稿: びんみん | 2006年9月18日 (月) 15:54
黒山羊さん、こんにちは。
この三条通自体、赤レンガの建物が並んでいて、保守的では生まれてこない街並みだと思います。
新しいものも、刹那的な受け入れではなくて、残って伝統になっていくのがまた面白く感じます。
投稿: びんみん | 2006年9月18日 (月) 15:59
夜の三条。
人通りが少ないのはよくないことなのでしょうか。
夜も人通りの多い方がいいのでしょうか。
そう、あの、あかり景色の頃、
そぞろ歩きというよりも、
騒乱とはいいすぎですが、
狂乱に近い趣があったように記憶しています。
「そぞろ歩き」って、あてもなく気の向くままにぶらぶらと歩き回ることですよね。
それはやはり、落ち着いたところでないと成立しないと思います。
「あかり景色」のイベントとは対極をなすことだと思うのですが、それは間違いでしょうか?
今の三条は、夜のそぞろ歩きにいいんじゃない?
投稿: | 2014年9月 9日 (火) 01:39
コメントありがとうございます。
もう8年になるのですね。
よそから来ている私にとっては楽しいイベントでした。
三条は華やかなイメージがあって。
でも違和感を感じた方もおられるのですね。
昨年、香川の観音寺で見た灯りのイベントはずっと静かで、そぞろ歩きに近いものでした。
月明かり、街灯、門灯、看板など、ほのかな灯りを頼りに歩く楽しみもあると思います。
投稿: びんみん | 2014年9月 9日 (火) 02:33