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2006年9月 9日 (土)

ツール・ド・フランスのドキュメンタリー

『マイヨ・ジョーヌへの挑戦/ツール・ド・フランス100周年記念大会』、英題”HELL ON WHEELS"、2004年、ドイツ、123分
監督:ペペ・ダンカート
『OVERCOMING ツール・ド・フランス 激闘の真実』、英題"OVERCOMING"、2005年、デンマーク、108分
監督:トーマス・ギスラソン
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九条のシネ・ヌーヴォXで上映中のツール・ド・フランスのドキュメンタリー2本を観てきました。
まず、シネ・ヌーヴォX(エックス)というのは、シネ・ヌーヴォの2階に新たに作られた上映スペースです。ミニミニシアターですが、国名小劇(日本橋にあるお休み中の映画館)よりは収容人数ありそう。6時の上映は補助椅子を出すほどの満員でした。

映画の説明をする前に、ツール・ド・フランスの説明をした方がいいと思います。
私にしても昨年のジロ・デ・イタリア(イタリア一周レース)からちょこちょこと見始めたばかりであまり詳しくないので、割り引いて聞いてください。

ツール・ド・フランスは、毎年7月にフランス(及び一部周辺の国)で3週間にわたり開催される、最大・最高位の自転車ロードレースです。全20ステージで優勝が争われます。初日は短いのですが、あとは200km程度のレースが続き、間に個人タイムトライアル(1人ずつ走る)、チームタイムトライアル(チームごとに走る)などのステージがあります。総走行距離は3500kmほど。2000mの峠に登ったりもしますし、完走しないといけないので相当過酷です。9人1チームのチーム競技ですが、チームの総合成績を競うのではなく(そういう賞もありますが)、全ステージを通じて最も短い時間で走った個人に与えられるマイヨ・ジョーヌ(黄色いジャージ)を獲得するのが一番の目的になります(強豪チームは)。この1人の優勝者を出すために他のチームメイトはアシストする形になります。各ステージ優勝でも相当な名誉のようです。

ほぼ同時に公開されている2本ですが、それぞれに味わいが違います。(ネタバレありです)

『マイヨ・ジョーヌへの挑戦』の方は、2003年大会でのチーム・テレコム(現T-モバイル)への密着取材。もっと限定するとツァベルとアルダークという長年コンビを組む2人が中心です。3週間、起居をともにするルームメイトの相性は辛いレースで重要なんですね。ツール・ド・フランス100周年記念作品ということもあって、ツール(略してこう呼ぶ)に関わる人々ーマスコミであったり、警備員であったりーにもスポットライトが当たっています。

もう一方の『OVERCOMING』の方は、2004年大会でのチームCSCへの密着取材です。こちらはチームワークを強調する異色のチームということで、プライベートで悩むエースのバッソとサストレ、彼らを助けたいと思う監督やチームメイト、監督を励ますスタッフ、突然の(しかし確率の高い)怪我、勝利の喜びと敗れた落胆、ライバルチームとの駆け引き、引退の決意などが生々しく描かれます。改めて、バッソっていい人なんやなあと思います。その結果、悩みをライバルであるランス・アームストロング(2005年大会までツール7連覇達成)に相談してしまう危うさにつながるのですが。

わたしの場合は、『OVERCOMING』の方が好みでした。
どうすれば2人のエースとチームメイトがともにチームワークを発揮できるのか、自分がプレッシャーを与えているのではないかと悩み、「励まし方を学びたい」としんみり話す監督の姿には、自分が職場でどんなことができているかと思い返してしまいます。そして、一生懸命、監督を励まし、選手を元気づけるフィジカル・セラピストの姿には心打たれます。

現在はブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン一周レース)を開催中。
Jスポーツでは、今年から3大レース(ツール、ジロ、ブエルタ)が生中継されています。残念ながら、盛り上がりに水を差すように、ドーピング問題で今年のツール直前に大量の出場停止者が出ました。その中にはCSCのバッソも含まれます。今年のツール優勝者もドーピング陽性反応が出て、優勝剥奪になりそうです。

それでも、故郷に近いステージで勇姿を見せたいと飛びだしていく選手、ちゃっかりゴール前で優勝をさらう選手、エースを助けることだけにやりがいを感じている選手、ライバル選手同士の協力や、自分は勝利に値しないと感じれば勝ちを譲る姿など見ていると、本当に面白いなと思います。平坦なステージ、山登りのステージ、カーブの多いステージなど、様々なステージがあり、それぞれ得意な人が勝利を狙います。いろんな勝利が用意されているのが良いです。これだけたくさんの景色を眺められる競技もないのではないでしょうか。

この映画を見ると、とにかくみな無事に完走してほしい。そう思います。
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