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2006年8月 3日 (木)

静かな280年 〜塩飽本島・笠島地区

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塩飽本島の2日目、また自転車を借りて、島の北東にある笠島地区に向かいました。笠島地区は、香川県唯一の重要伝統的建造物群保存地区です(昭和60年指定)。建物は110棟余り。うち江戸後期のものが13棟、明治時代のものが20棟あるとのこと。集落は三方を低い山に囲まれ、海に開けています。左手の丘の上には城跡があり、笠島は城下町的な要素のある町並みだそうです。

 

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笠島まち並み保存センター(真木(さなぎ)邸)。
真木家は塩飽諸島を統治する年寄を務めた家柄だそうです。建物は江戸時代のもの。
この広いお屋敷は内部を観覧できます。

 

高橋さんという方が笠島の歴史について語ってくださいました。はしょって言いますが、江戸中期まで廻船の船方の町として繁栄していた塩飽は、各地で発達した新興の廻船に押されて、280年前、権利を大阪の廻船業者に譲ることになったそうです。船員は他の廻船業者のもとでも働けますが、船大工は仕事がなくなります。そこで、寺社や住宅の大工となり、腕のいい塩飽大工として、全国に散ったそうです。大阪など各地に定住する人も出てきますが、時々は塩飽の家に戻って管理をしていたのだとか。町並みを見ていて、近代建築がない理由が分かりました。明治維新よりずっと前に静かな町になっていたのです。その後も伝統的な建築が建てられ続けたのは、塩飽大工としての意地もあったのかもしれません。

 

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この町並みで私が気に入ったのはこの眺め。
こうして障子を開けると通りは廊下のようなんです。気分のいい開放感。通りがきれいで生活感がないせいもあるのかもしれませんね。

 

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塩飽大工の技を感じたこの建物。このカーブに合わせた建築は船大工の技でしょう。

 

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こちらはふれあいの館(小栗邸)。廻船問屋の建物だそうです。軽食、飲み物を提供するスペースになっていて、うどん、うどん大、ホットコーヒー、アイスコーヒー、夏みかんジュースがメニューのすべて。私はうどんと夏みかんジュースをいただきました。

 

このほか、公開されているのは文書館(藤井邸)。
笠島地区では年に2〜3軒ずつ建物の修復が進められているそうです。
観光客向けの土産物屋も食べ物屋もなく、観光客で稼ごうという意識はあまり感じませんでした。
さきほどの小栗邸の近くには、よろず屋があり、「○○ちゃんは来てないの?」「まだ夏休みに入ってないわよお」というような会話が交わされていました。観光客より孫です。

 

この日は写生大会があるとかで、小学生がたくさん絵を描いていました。
いつもより少し、賑やかだったと思います。

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コメント

こんばんは。

一連の写真を拝見していると、とても静かな静かな時間が流れている感じですね。

大都会で暮らしていると、なーんか、そういう時間を全て忘れ去って、あくせくあくせくしている気がします。
島の方には失礼な言い方かもしれないけれど、なーんにもせずボケーッとして潮風を頬に感じながら昼寝したいなあ・・・なんて思ってしまいました。

投稿: ひろ009 | 2006年8月 3日 (木) 21:37

ほんとうにゆったりとした夏休みですね。
子供のころ年1回夏休みに海へ行くのをとっても
楽しみにしていたのを思い出します。
実家の奈良は海なし県なので・・・・
今、海好き島好きなのはその反動でしょう。

投稿: ぷにょ | 2006年8月 3日 (木) 23:54

ひろさん、こんばんは。
見たまま、とても静かでしたよ。私は自転車で走るんですが、すれ違う人も少なく、車もあまりなく。
そして、滞在中、ずっといい風が吹いていました。

投稿: びんみん | 2006年8月 4日 (金) 00:20

ぷにょさん
私は1泊2日なので、ゆったりしてたかというと・・・
広い島ではないので、のんびりはしました。
私はおばあちゃんの家が紀伊田辺だったので、夏休みといえば、海でした。海と夏休みのイメージは分かちがたく結びついています。
この島におばあちゃんがいる子供ってすごくいいなと滞在中思ってました。

投稿: びんみん | 2006年8月 4日 (金) 00:26

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