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2006年2月14日 (火)

中国映画『単騎、千里を走る』

原題“千里走単騎”、英題“Riding Alone for Thousands of Miles”

2004年、中国=日本、108分

監督:張藝謀(ジャン・イーモウ)、降旗康男<日本パート>

舞台:中国雲南省麗江市、石頭村、日本・男鹿市、横浜市

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ローカルな映画館で映画を観るシリーズ?

今回は淡路東宝1で『単騎、千里を走る』を観てきました。

これは文化を徹底的に破壊した文化大革命後の1978年に中国で大々的に公開され、大きな影響を与えた『君よ憤怒の河を渡れ』の主演・高倉健に惚れ込んだ監督・ジャン・イーモウが、高倉健のために作った映画です。そして意図はもう一つ。それは後で書きましょう。

高倉健は、かつての確執から互いに会うこともなくなった息子が重い病気になったと聞き、会いに行きますが会ってもらえません。民俗学者である息子が、ある名人の仮面劇を撮影しようとして未だ果たしていないと知り、今更ながら息子の心に触れたいと、ひとり雲南省に撮影に向かうという話です。この映画は「仮面劇」というのが象徴的な意味を持ちます。

道中を助けてくれるのは日本語の拙い通訳。ただ撮影するだけだから簡単かというと、これを解決するためには別な問題を解決しなければならない、とどんどん奥地へ、深みへと向かうことになります。

ついにはトラクターでしか行けないような奥地、石頭村(石頭は中国語で「石」です。石村)へ。

そこで孤独だった高倉健と素朴な村人が心を通わせることになります。

この映画、高倉健への思いは溢れるほどで、彼らしさを十分に尊重しています。

また、最初は日本パートから始まるのですが、あれ、随分日本的な画面だなと思っていたら、日本の降旗監督ら全て日本スタッフによるものだとか。これもジャン・イーモウ監督の希望だそうです。

日本人と中国人が互いに反発を強め合うこの頃、とくにネット上ではそれぞれで激しい言葉が飛び交っています。それに対して、この映画に登場する中国人は寛容で、‘情’を重んじ、旅人のために便宜を図りますし、日本人高倉健も思いやりをもって中国人に接します。ここにジャン・イーモウ監督の今の中国人に向けた痛切なメッセージを感じます。「本当は、みなさん中国人はもっと‘情’を重んじ、互いを尊重する人たちではないのか」と。

ちょうど『中国が「反日」を捨てる日』を読んでいたこともあり(今の反日の背景を知りたい方、ぜひ読んでください)、今の互いの状況に思い至って仕方ありませんでした。公式HPには監督から、パンフにも載っていないメッセージがあります。ぜひご覧ください。(オープニングをスキップしないでくださいね)

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さて、淡路東宝1は、淡路駅の西側に続く商店街のアーケードにあります。淡路は下町の雰囲気が残る街で、商店街も人通りが絶えません。面白いのが、映画館の待合室から商店街が見下ろせること。この淡路という街の雰囲気が味わえるよい設計だと思います。映画館自体も大きく、観客も少ないので(それは善し悪しですが)、ゆったり観ることができました。ちょっとレトロな雰囲気の映画を観るにはぴったりのロケーションじゃないでしょうか。

ちなみにラガールカードを提示すると割引があります。

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コメント

これは、絶対観に行くつもりです。(ですので、びんみんさんに倣って、とばし読みさせていただきました^^。)観終わったらじっくり読ませてもらいます。すごく楽しみです。
公式ページって、隅々まで読んだことがなかったのです(オープニングも必ずスキップするし)、教えて下さってありがとう!

投稿: ふぁっちゃいん | 2006年2月14日 (火) 22:11

ふぁっちゃいんさん、こんばんは。
今回はそんなにネタバレにはなってない(ことないかな)つもりなんですが、観に行かれるならその方がいいですね。
私もオープニングはいつもスキップしますし、たいがいスキップして問題ないと思っているんですが、この映画については、たまたま観たところ(だいたい、公式HPを見た理由というのが、原題を調べるためだったぐらい)、ジャン・イーモウ監督のメッセージが流れたので。解説もパンフ解説より踏み込んでますので、ぜひ。

投稿: びんみん | 2006年2月15日 (水) 02:01

びんびんさんもこの映画を見られたのですね。こころの暖かくなるいい映画でしたね。

お茶会は、次は春茶の出揃う頃にできればと考えています。都合がつけば参加してくださいね。やはり3人はちょっとさびしく5人くらいがベストかと思いました。

投稿: hide | 2006年2月23日 (木) 01:07

hideさんもご覧になってましたか。
暖かい映画だと思います。

都合がつけばぜひお茶会には参加したいと思っていますので、よろしくお願いします。
たしかにいろんなお茶を無駄なく楽しむなら、そして1つの話で盛り上がるなら5人ぐらいがちょうどいいですね。

投稿: びんみん | 2006年2月23日 (木) 02:36

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