型紙の町・白子
白子という町をご存じでしょうか?
行政区で言うと三重県鈴鹿市白子。鈴鹿という地名は山をイメージさせるのではないかと思いますが、鈴鹿には海もあります。東海道から伊勢湾のゆるやかな海岸沿いに南下して、津、松阪、そして伊勢に向かう街道が通る宿場町です。
今でもこのような古い町が残っています。
出張の途中で一泊する必要があり、この町に泊まりました。
(泊まったのは普通のビジネスホテルですけどね。1kmほど離れて平行して走る国道沿いには典型的な郊外ロードサイドの町ができあがっています。ホテルも国道沿い。)
12時に白子の駅で拾ってもらうことになっていて、待ち合わせの時間までしばし町を散歩しました。
昔の幹線だけあって、このような立派な松並木が残っています。風のせいか陸側に傾いでいる松。
このあたりは江戸時代、紀州徳川藩の飛び地で、ここから江戸に向けて木綿が出荷されていたそうです。(ちなみに松阪も紀州藩)尾張藩はもうすぐそこ。
わざわざこんなところまで領地を持っていたのはよほど重要な港だったのでしょう。
ロシアに漂流した大黒屋光太夫が江戸に向けて出航したのが、この港なのだそうです。光太夫の出身地は隣町(鈴鹿市内)で、つい最近、大黒屋光太夫記念館がオープンしたそうです。私が行ったときはその直前でしたので、残念ながら入ることはできずじまい。
このあたり、砂浜の海岸が延々と続いています。天気も悪くて寂しげですね。
もう一つ、この町には特産品があって、それは「伊勢型紙」。友禅やゆかたなどを染めるときの型だそうです。全国生産の99%と言いますから、ほぼ独占です。町には昔の町家を使った「伊勢型紙資料館」というのもあるのですが、あいにく休館日でした。以前、堺の浴衣屋さんで見せてもらった型紙を思い起こすと、網に黒い切り絵が貼ってあるようで、しっかりしたものだったと覚えています。
「伊勢型紙」は紀州徳川藩の保護を受けて発展したといいます。一緒に売り歩いたという「鈴鹿墨」も奈良に次ぐ生産だそうです。表向き静かな町からは想像しにくいですが。 今回、私が歩いた範囲では、モダンなお風呂屋さんや町家の「こて絵」飾りにデザイン性が感じられ、もう少し確かめてみたい気がしました。 また改めて、この町を訪ねてみたいと思います。
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