「生活と芸術−アーツ&クラフツ展」(京都)
雨予報の日曜日。街道歩きに出かけようと思ったのですが、確実に雨が降ることが分かって、行き先を急きょ京都に変えました。美術館なら雨も関係ないので。
めざすは京都国立近代美術館の「生活と芸術−アーツ&クラフツ展」ウィリアム・モリスから民芸までです。
以前、ここで「ウィリアム・モリス展」を見たこともあります。
今回は、モリスに限らず、アーツ&クラフツ運動の展開や、日本も含めた各国への広がりについて、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館収蔵品を中心に紹介しています。
イギリスでの運動の展開や民藝運動の三国荘の再現展示もいいのですが、ひねくれているようですけど、私はオーストリア、ハンガリー、ドイツ、ロシア、北欧など各国への展開の部分を面白く思いました。アーツ&クラフツ運動に感化されながらも、職人、デザイナー、工業化、伝統工芸といったキーワードをそれぞれの形で取り込み、オーストリア・ハンガリーでの前衛化や高価な工芸品化、ドイツでのデザインと機械工業の融合、ロシア・北欧での愛国的展開など多様に分化した−など興味深い話です。
展示の流れは時間の流れに沿ったもので分かりよいものでした。
ただ、パートごとの解説と人物の解説だけで、展示品の解説はほとんどありませんので、音声ガイドを利用した方が、展示品の意味がよく分かると思います。私も珍しく音声ガイドを利用しました。
あと、アーツ&クラフツの運動が克服しようとした「粗悪な工業製品」や「伝統的装飾」がどんなものか並べて見せてくれたら(写真でいいので)なお分かりよかったのになと思います。
展示の目玉である「三国荘」は7部屋あったうちの2部屋が再現されていました。
三国荘は、昭和3年に東京での博覧会に出品された民藝館を、会期後、初代朝日麦酒(アサヒビール)社長の山本爲三郎氏が引き取り、大阪・三国の自邸内に移築したものだそうです。中国とも韓国とも日本ともつかない不思議な空間でした。
もう一つ付け加えておくと、ウィーンの郵便貯金局の椅子というのが展示されていました。ちょうど建物をひろさんの記事で見ていたので、黒とメタリックでリベットの並ぶ椅子はまさにぴったり!
伝統的なものから超現代的なものまで、デザイン満喫の展覧会でした。
この展覧会の会期は9月13日(土)〜11月9日(日)です。
10月4日(土)14:00〜15:30には、建築史家の川島智生氏による講演「三国荘の建築」(仮題)もあるそうです。
このあと来年は東京都美術館、愛知県美術館に巡回予定です。
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コメント
こんばんは。
おー、アーツ&クラフツ展の記事はこちらでしたか。
Myブログへのコメント&ご紹介、ありがとうございました。
私はイギリスとオーストリアが興味深かったです。
ウィーンの郵便貯金局の椅子は、アルミでカバーした部分が
現地で見たイメージとラップしましたね。
>三国荘は・・・中国とも韓国とも日本ともつかない不思議な空間でした。
まさしくその通りでした。
あのような佇まいはちょっと記憶にありません。
三国荘については、講演の感想と合わせて今夜か明日の夜に書くつもりです。
投稿: ひろ009 | 2008年10月 6日 (月) 21時13分
ひろさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
現地で見ていると印象が違うでしょうね。
ヴィクトリア&アルバートに行ったことがありながら、そんなんあったっけというものばかりでしたが・・・
三国荘のご報告楽しみにしてます。
投稿: びんみん | 2008年10月 6日 (月) 23時34分