2012年7月16日 (月)

金沢21世紀美術館

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誰も見てないけど、密かに更新。
以前からすごいとは聞いていて行ってみたかった金沢21世紀美術館に初めて見に行きました。
美術館のある場所は公園のようで、人がたくさん集まっています。
芝生がすりばち状になっていて、その底に美術館があるので、自然に吸い寄せられてしまいます。アリジゴク式(笑)

手前にある色つきプラスチックの壁も作品です。
この中に入ると世界がいろんな色に見えます。
このように子どもが体感的に楽しめる作品もたくさん用意されています。
これは無料ゾーン。

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広場ではラジオの公開収録も行われていました。

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屋外のスツールもまた作品です。

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せっかくなので特別展も見ます。
このときは「工芸未来派展」が行われていました(今もやっていますが)。

陶芸作品が多いのですが、ものすごく緻密であったり、ヴィヴィッドに弾けていたり、未来派というだけに見たことのないような表現を見ることができました。

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もう一つのコレクション展は、「ソンエリュミエール−物質・移動・時間」です(これも開催中)。
面白かったのが、上の写真を見ていただいて分かるように、一瞬だけ晴れ間が出て、屋外展示のコンクリート作品に水たまりができて光るという場面を見ることができました。
面白かったのは草間彌生さんの作品で、再現された部屋のあちこちに水玉模様がブラックライトで浮かび上がるというもの。

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美術館の作品の目玉ともいえるスイミングプールも見てきました。
やはり大人気です。

面白いのが無料ゾーンから有料ゾーンの作品をちょっと覗けるようにしてあるのですね。中には、無料ゾーンからしかよく見えない有料作品もあったりして。

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こちらのロッキングチェアも作品です。
揺れ出すと止まりません。

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託児ルームも完備。

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裏の広場ではマルシェをやっていました。
私は買わなかったのですが、買いたくなる作品は多くて、先を急いでなければ何か買っていたでしょう。

仕掛け満載で、金沢の子どもたちがうらやましくなります。

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2012年4月26日 (木)

「没後40年 吉原治良展」(芦屋市立美術博物館)

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桜舞う芦屋市立美術博物館で、「没後40年 吉原治良展」を見ました。
先日、芦屋公園や周辺の海浜住宅地を歩き、芦屋公園で具体派の初めての野外展が開かれたと知ったばかりでしたので、いいタイミングです。

展示は1階特設ブースで生涯の絵の変化を概観した後、2階で年代順に絵を見ていくという流れの分かりやすい展示でした。

正直、私は吉原治良について、ほとんど知りませんでした。
しかし、彼の生きた時代は私が興味をもつ阪神間モダニズムの時代でもあり、今まで訪ねたあれこれが重なってきます。

吉原は油問屋の御曹司として生まれ、愛珠幼稚園>愛日小学校>北野中学校>関西学院と進みます。
まさに船場商人の道。
北野中学校在学中に独学で油絵を描き始めたのですが、結核を患って浜寺そして芦屋の別荘で療養しながら絵を描いていたそうです。
朝に魚を買って、昼に絵に描いて、夕食にするという生活。芦屋の浜や蔵を眺める窓辺に魚を置いた絵が何枚もありました。魚が大好きで、堺の大浜公園の水族館にも写生に出かけていたそうです。
この時期はまだ具体ではないのですが、私の興味をひく内容でした。

パリから藤田嗣治が帰ってきたのを勝手に出迎えて絵を見てもらったのはいいのですが、独自性がないと言われて抽象絵画の世界に入っていったそうです。

戦後の1954年に具体美術協会のリーダーとなり、1955年に芦屋公園で「真夏の太陽にいどむモダンアート野外実験展」を開催します。その後、この時の展示を再現する試みが芦屋公園で開かれたことを今回知りました。

普通に屋内での展覧会もしているのですが、1956年には尼崎の武庫川河口の廃墟で一日だけの野外展、1960年にはなんば高島屋屋上で絵を転写した凧をアドバルーンで揚げた「大阪・インターナショナル・スカイ・フェスティバル」が開催されたそうで、非常に心ひかれます。

そして行き着いた境地としての○
勢いよく描いているのかと思っていたのですが、丁寧に描かれていたのですね。

今回は私にとっては吉原治良入門編となりました。面白い内容でした。
同時代の芦屋の作家の方にも注目していきたいと思います。

展覧会は、2012年5月27日までです。
詳しくはこちら

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なお、芦屋市立美術博物館の敷地には、復元された小出楢重アトリエがあります。

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美術館の2階からは芦屋浜シーサイドタウンが眺められて、この風景も前衛的です。

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2011年12月12日 (月)

橋口譲二写真展「Hof ベルリンの記憶」(大阪ニコンサロン)

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知人のIさんから強く勧められて、大阪のニコンサロンで開催されている橋口譲二写真展「Hof ベルリンの記憶」を見てきました。

Hofというのは、中庭のことです。
ベルリンの壁が崩された90年代初め、橋口さんは東ベルリンの建物の中庭に入っては、その印象的な姿を撮り始めたそうです。最初は何か分からずに。

次第にそれが19世紀末から20世紀初めに建てられたものであること、もとはユダヤ人らが住んでいたこと、その後、共産党員らが移り住んだことなどを知ることになります。
ある人たちにとっては忌まわしい場所でもあった訳です。

しかしながら、アール・ヌーヴォー(というよりドイツなのでユーゲント・シュティルでしょうか)に近いデザインの窓や扉、階段は、手入れがされていないため朽ちながらも美しく魅力的です。

90年代初めには人の入れ替わりが激しく、補修工事が始まった頃だったため、中庭に通じるドアが開いていることが多く、橋口さんも入りやすかったそうです。
その後、中庭はきれいにされて、建物にはあるいはギャラリーが入り、この姿は失われたそうです。

橋口さん自身による写真展解説の文章がとてもよく、写真家を越えて、間合いを測りながら対象に向かう真摯さを感じました。

橋口さんがギャラリーにおられたので、いくつか質問をしてみました。
品のある声で、考えながら誠実に答えてくださいました。
「今もベルリンを撮り続けておられるのですか?」と尋ねると、
「時々、考えるために行きます。写真はあまり撮りません」というお答えが返ってきました。

私からもお勧めします。

大阪ニコンサロンで、12月21日(水)まで開催しています。
開催時間は10:30〜18:30。最終日は15:00までです。


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2010年6月 1日 (火)

「レゾナンス」展(サントリーミュージアム)

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大阪・天保山のサントリーミュージアムで、「レゾナンス 共鳴 人と響き合うアート」展を見てきました。(かなり前ですが)

今回は「人が人としてあり続ける上で自ずと生じてくるさまざまな様相−」「生と死」「喜び」「悲しみ」「愛」「憎しみ」「笑い」など−を様々な手法で浮かびあがらせた現代アート作品」の展覧会だそうです。(そうではないアート作品ってどんなの?とも思いますが)
現代アートもいいとこで、なかには描いたばかりで油絵の具の臭いがするものも。

いくつか印象に残ったものを挙げてみます。

●西尾美也さん
 ケニアのナイロビに出かけて、出会った人と服を交換して写真を撮るというもの。
 ナイロビの方の服装は驚くほど多様で、また西尾さんが男女どちらの服でも似合うような方なので、イメージがどんどん展開していきます。

●ジャネット・カーディフさん
 40本の楕円形に配置されたスピーカーから40人の聖歌隊の歌が、開始前のおしゃべりも含めて流れます。大阪港を一望できるサントリーミュージアム自慢の部屋で、ここでしかない空間が出現。

●金氏徹平さん
 フィギュアの髪の部分だけでできた妖怪のような生き物(たぶん)、さまざまなものを白い樹脂で固めた・・・クリームでコーティングしたような。普通のものが集まって異様なものになる不思議さがあります。

このように例示してしまうとイメージが固まってしまいますが、20アーティストのそれぞれに「そんなのあり?」な表現が展示されています。次の予定があったので、理解をするにはちょっと駆け足だったかも。

2010年6月20日(日)まで開催中ですので、まだ見られます。

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2010年4月 4日 (日)

台湾映画『海角七号』

邦題:『海角七号 君想う、国境の南』
原題:『海角七號』
2008年、台湾、130分
監督・脚本:魏徳聖
キャスト:范逸臣、田中千絵、中孝介、林宗仁ほか
舞台:台湾最南端の恒春鎮、墾丁、車城郷

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1月に梅田ガーデンシネマで「海角七号」を観ました。
封切り間もない頃で、そこそこの入り。

「海角七号」は、訳せば「岬7番地」
この映画は台湾最南端の街・恒春の物語です。
バンドもの映画でもあり、日本と台湾の関係をめぐる映画でもあるコメディです。

台湾で大ヒットしたという予備知識があって観に行ったので、最初、「これのどこが」という気持ちがぬぐえませんでした。ベタな感じなのと、出てくる人たちがみな何か不機嫌なのもそう感じさせる原因かもしれません。

日本と台湾の距離感は測りがたいもので、それがストーリーにも描かれますので、日本人としては当事者の目で観ることになってしまいます。
深く考えずに観た方がいいのかも。

コメディでは人間国宝のおじいさんが、枯れてそうでいながら俗っぽい、いい味を出しています。

...

・・・ちょっと映画の感想がうまく書けない。
   下書きのままほったらかしだったのですがとりあえずアップします。

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2010年2月 9日 (火)

「絵画の庭」展(国立国際美術館)

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中之島の国立国際美術館で開催中の「絵画の庭 ゼロ年代日本の地平から」展を見てきました。
2000年代の日本の具象絵画を特集した絵画展です。

今回は2フロア・全展示室を使う気合いの入った展示をしていました。
今回の展示方法でいいなと思ったのは、1人1部屋が割り当てられていることで、作家さんの部屋を順々に訪ねて回るような感覚になることです。やはり1枚ずつ並べられても絵の意味を理解するのは難しくて、いくつか並べてみることで、作家さんがこだわっているのが何なのか見えやすくなります。

総勢28人もの作家さんの作品です。
誰が誰か分からなくなりそうだったので、キーワードをメモりながら見て回りました。
例えば、草間彌生さんなら「パターン、チカチカ、目玉=葉」とか。

印象に残った人・作品をあげると、

○会田誠さん
 大画面で無数の女性がジューサーミキサーにかけられている絵、隣には日本アルプスの滝で遊ぶ大勢の女子学生の絵で圧倒的なインパクトでした。

○奈良美智さん
 ポスターにも使われている、絵筆の明かりを頼りに闇の沼を進む少女の絵。画家としての決意を示しているような弱くも強い絵です(トップの写真をご覧ください)。以前の展覧会で見ているはずなのですが、記憶にありません。

○森千裕さん
 現代の商品、ロゴ、広告のイメージが溢れるような絵。
 彼女の場合、とくに1枚だけでは分からないと思います。

○はまぐちさくらこさん
 少女の落書きが発展したようなイメージの炸裂。

○秋吉風人
 金色の部屋、それだけ。

こういうのもありなのかと思わされる作品もたくさんありました。
「きれい」でも「考えさせられる」でもなく、「その手があったか」も現代の絵を見る楽しみの一つのように思います。

「絵画の庭」展は2010年4月4日まで開催されています。
まだまだ間に合いますよ。

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1月23日のダイビル。
解体工事が進んでいます。

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2010年1月31日 (日)

日本映画『秒速5センチメートル』

『秒速5センチメートル a chain of short stories about their distance』
2007年、日本、63分、アニメ
監督・脚本:新海誠、音楽:天門
舞台:東京、栃木県岩舟町、種子島

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ようやく今年初めての記事です。
今年初めて観た映画はDVDの『秒速5センチメートル』でした。
わずか63分のアニメ映画です。

秒速5センチメートルというのは、桜の花びらが落ちるスピード。
それ自体にあまり意味はありません。
ただ、定められた別れのスピードを示しています。
男女の心の距離と時間がこの映画のテーマです。
小学校で出会った2人の、その後の3つの時期が描かれます。

ただただ切ない。

とても日本的な映画だと思います。
最初はあまりに過去に囚われすぎではないかと感じました。
しかし、監督がインタビューでおっしゃるのですが、「日本では何か大きな障害が二人を阻むことは少ない。それでも2人の心は離れていく。その結果は自分で引き受けるしかない。それはとても辛いことなんだ」と。それが日本の示せる普遍性なのかもと気付かされました。

最終話はほとんど、山崎まさよしさんの「One more time, One more chance」に合わせて作られた映像で、見事の一言です。その体験のために、最初から映画を一見する価値あり、と思います。

もう一点。
ストーリーはおいても、この映画の見どころはその光の表現です。
春の木漏れ日、夏の陽射し、雪に反射する光、満月、街灯、自販機の明かり、ストーブ、信号、駅名表示、ネオン、電車の車内灯、ホームの蛍光灯、切れかけた蛍光灯、モニター、携帯画面などなど、あらゆる光が描き分けられていて、その繊細さに驚きます。

短い映画ですので、ぜひご覧になってみてください。
.....

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2009年12月31日 (木)

2009年のまとめ

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先日、職場の近所のギャラリーで開催されていた、上砂理佳さんの個展を見ました。
銅版画の作家さんで、水彩も出展されていました。
銅版画は、ヨーロッパのような風景がセピアに近い色で精密に書き込まれています。
この色合いがすてきなんです。

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こたつに入ってくつろげるようにもなっていました。
実際に、こたつで上砂さんご本人とお話をして、非常に手間がかかるという銅版画のことを教えていただきました。1枚の版で刷る数は100〜120枚程度で、それが出てしまったら、作家個人分としてのAPという記号が入るもの(1割程度まで刷れる)を出すという初歩的なことから、微妙なぼかしの技法、1枚の製作期間に1ヶ月ほどかかるというお話まで。
先ほど、ヨーロッパの「ような」と書いたのは、絵のモデルが実は神戸だったり、緑地公園だったり、淡路島水仙境だったりするそうなのです。かえって親しみを感じました。

以上が近況報告で、
2009年最後の記事として(もともとあまり書いてませんが)、昨年に続き、日常愛好日記のまとめをします。

表のブログに比べて静かなのは相変わらずで、時々見に来てくださる方はおられるようなのですが、自分の備忘録と化しています。

○映画
 映画館では今年12本観ました。DVDは9本。
 相変わらず、日本映画とアジア系に偏っていますが、今年は多少まし。
 まずまずいい映画と出会えました。
 今回もあえて順位を付けると、

 1.「グラン・トリノ」
 2.「四川のうた」
 3.「ディア・ドクター」
 4.「チェイサー」
 5.「スラムドッグ・ミリオネア」

 良かったといいながら、感想を載せてませんでした。すみません。よそでコメントして感想を書いてしまうと、もうそれでいい気分になってしまいますもので。
 他に香港映画の「エグザイル 絆」、意欲的な日本アニメの「サマーウォーズ」も良かったと思います。

○アート
 今年は少なめです。
 行っても感想を書かなかったり。

○お茶
 夏に東京の神田で面白いお茶屋さんに出会ったのが、今年の収穫です。
 (でもこれも記事にしていませんでした)

○サッカー観戦
 今年は何度か観戦できましたし、何よりセレッソが久々にJ1昇格決定しました。
 例によって優勝を逃してしまう勝負弱さは相変わらずですが、昇格できればよしです。

○陶芸
 依然としてお休み中。
 今年は仕事で陶器屋さんを取材することがあり、なぜか縁があります。

 
 滅多に更新されないブログを巡回してくださる皆さま、ありがとうございました。
 そして、無駄足ばかりさせてしまってすみません。

 来年もいい出会いのある年でありますように。


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2009年11月14日 (土)

日本映画『サマーウォーズ』

2009年、日本、114分
監督:細田守
舞台:長野県上田市、東京

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このところ映画を観に行くことは少なめで、書くことはもっと少なめ、でしたが久々に映画の感想です。

夏頃から話題になっていた『サマーウォーズ』。
秋口に公開されていたパークスシネマで観てきました。

アニメ映画で、映画の中にネット上の仮想空間が描かれるので、アニメ内アニメになっています。「仮想空間OZ」を通じて、公共サービスも含めた様々なサービスが提供される世界という設定です。そこで起こるサイバーテロはあらゆることに影響してしまう。

それに対して映画の中の「現実世界」は、夏休み、あこがれの先輩の実家である、長野県上田市の名家を訪ねる高校2年生(詰めの甘い天才数学少年)。名家の一族郎党を率いるのは90歳のおばあちゃん(凛々しい)です。相当、非現実的な設定ではありますが。

この上田市と全世界、伝統的大家族と最先端のネット世界、2人のラブストーリーと世界の危機という極端な対比で話が展開します。果てはあるもので世界を賭けた大勝負をしてしまう。
この落差の妙が見どころなのかなと思います。

ストーリーが大胆な一方で、高校生のラブストーリーは見てて恥ずかしくなるほど。
アニメの表現力を見せるということではかなりのことをやっていると思います。
仮想空間の映像表現を見ているだけでも楽しめるのではないでしょうか。

仮想空間OZは村上隆風のデザインで、彼がデザインに関わっているのかと思いましたが、そうではないらしいです(監督と接点はあるらしい)。
....

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2009年10月20日 (火)

「やなぎみわ 婆々娘々!」展(国立国際美術館)

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最終日、それも文字通り駆け込みで(ラスト30分でほんとに走った)、
「やなぎみわ 婆々娘々(ポーポーニャンニャン)!」展を観ました。
会場は中之島の国立国際美術館です。

やなぎみわさんというと、「エレベーターガール」(エレベーターガールが床にごろごろと転がっていたりするクールな写真)のシリーズしか知りませんでした。

会場は3部に分かれています。

第1部は「マイ・グランドマザーズ・シリーズ」。
一般公募の女性モデルに「50年後の理想の自分」をインタビューし、特殊メイクした本人やCGで表現したもの。日本人のおばあちゃんたちのアグレッシブなこと。「引退させてくれないんだよ」というような。外国人も参加しているのですが、むしろヨーロッパ人は友達の思い出とともにあるような穏やかなものの気がしました。このシリーズは読み取りやすく、写真としても整って美しいものです。楽しくもあります。

第2部は「寓話シリーズ」。
ダークです。寓話に登場する老婆と少女を、少女が2役を演じているのだそうです。全て白黒で、恐ろしい物語の雰囲気を漂わせています。

第3部は「ウィンド・スウェプト・ウィメン・シリーズ」。
ポスターにもなっている、上半身裸で踊り狂うモノクロの女性像です。これには映像作品もついています。テントをかぶって荒野を移動する女性の一団が、ある場所でテントを出て踊り狂い、再びテントをかぶって移動するという映像です。踊り狂う姿は、神話の神々を思わせます。

こうしてみると、やなぎみわさんの写真は、徹底して女性というものを取り上げていて、男の入る余地のないような世界です。果たして、今後男が登場することもあるのか、それも気になるところです。

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