2007年4月 8日 (日)

最後のシネフェスタ

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動物園前の映画館「シネフェスタ」が3月31日に閉館しました。フェスティバルゲートという場所が場所だけに、それに実際お客さんの入りも少なかったのでいつなくなってもおかしくないとは感じていましたが、シネコンばかりが増えるなかで、個性的な映画館のなくなるのはさびしいことです。

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シネフェスタは珍しいポジションの映画館で、4スクリーンがあり、新作のメジャーな映画も上映すれば、ミニシアター系も上映し、アジア映画に手厚いという重宝な映画館でした。その上、新作映画でも1000円で見られ、5回見れば1回無料という強力な会員特典。仕事が忙しくなる前はかなり利用させていただきました。

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開場前で賑わっている写真も載せておきますね。

最終日にむけては、今までに上映して好評だった作品や投票による作品が上映されていて、私は最終日のラスト2、ファン投票による『ローマの休日』を観てきました。
ちゃんと観たのは実は初めて。思いやりの映画でもあるということに気づかされました。

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私からも“ありがとう”
グレゴリー・ペックみたいに振り返りながら、名残惜しく映画館を後にしました。

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2006年10月31日 (火)

日本映画『幸福のスイッチ』

2006年、日本、105分
監督・脚本:安田真奈
舞台:和歌山県田辺市、東京
ロケ地:和歌山県田辺市ほか

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テアトル梅田で、『幸福(しあわせ)のスイッチ』を観てきました。

この頃ブームのご当地映画の一本。和歌山県田辺市が舞台の映画です。自分の生まれた町なので気になって観に行くというのは、製作者の思うつぼでしょうか。他のお客さんも出身者が多かったような。地元の期待を裏切らず、梅干しやみかんや備長炭やと特産品が次々に紹介されて、基本はオーソドックスなつくりですけれど、それだけではない映画でした。

登場するのは田舎で小さな電器店を経営する頑固親父(沢田研二)と3人姉妹(本上まなみ、上野樹里、中村静香)。母親は既に亡くなっています。ヒロインは次女の上野樹里。父親に反発し、東京でイラストレーターをめざしているのですが、入院した父親の代わりに1ヵ月だけ店を手伝うことになります。

・・・という話なので、だいたいストーリーは分かると思いますが、なかなかにディテールに凝っていて、楽しく、じんとする話になっています。親子の話に、地方での大型店対地元の電器屋という構図が加わり、いかに大型安売り店に対抗して商売をするか、さらにはいかに働くかという話がクロスします。監督は10年のメーカー勤務の上、3年間取材を重ね、電器店でも働いてみたのだとか。お客さんからの頼みに実にリアリティがあります。これがみかん農家の話だったらどうだったか。電器屋に設定したおかげで、普遍的な話になっています。それでいて、おっとりした田辺弁(和歌山市あたりの言葉とも違って京言葉のような要素もあると聞きます)が和歌山の雰囲気を醸しています。

父親と三姉妹という設定で思い出すのは、台湾映画の『恋人たちの食卓』。とても好きな映画ですが、それとはまた違う味です。こういう映画はこれでいいのかなと思います。何も全て、芸術的な映画である必要もないのですから。
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2006年8月 1日 (火)

日本映画『ゆれる』

2006年、日本、119分
原案・脚本・監督:西川美和
舞台:山梨県、東京 ロケ地:山梨県富士吉田市、新潟県津南町(吊り橋)、東京
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梅田スカイビルのシネリーブル梅田で『ゆれる』を観ました。
観る前から楽しい話ではないなあ・・・と分かった上で観るのですが、やはり重い話です。

東京でカメラマンとして成功している弟、故郷山梨でガソリンスタンドを継いだ兄。久しぶりに会った二人が幼なじみの女性と峡谷に遊びに行ったところ、女性が吊り橋から転落。一体何が起こったのか?

西川監督は、兄弟を追いつめ、確執をえぐっていきます。
その徹底ぶりはみごとなまで、兄役・香川照之の全力の演技もすばらしいのですが、私はちょっと賛同できないなという感想です。人の心の汚ない部分をさらけだせば、そこから本当の関係が生まれるんでしょうか? 私には布団を叩き続けて、どんどん埃を出しているように見えるのです。映画には、汚れを認めた上で受け容れる道を期待したいのですが。

後でパンフレットを読むと、監督自身、本当は優しくてハッピーな作品を撮りたかったのに、この映画の原案となる「夢」を見て(ってすごいですね。前作『蛇イチゴ』も夢が原案だそうです)、方向転換したそうです。やむにやまれずはき出したということでしょうか。

観る価値のない映画だとは思いません。
年に10本ぐらい映画を観るなら、そのうちの1本としては良いと思います。
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梅田北ヤードは着々と工事が進んでいます。
この広い空が見られるのはあとどれくらいでしょうか。

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2006年3月18日 (土)

香港映画『カンフー・ハッスル』

原題"功夫"、英題"Kung Fu Hustle"、
2004年、中国(香港)=アメリカ、103分
監督・製作・脚本・主演:チャウ・シンチー
舞台:文革前の中国南部の都市、豚小屋砦 
ロケ地:上海市・松江・影視楽園?
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初めて行ってきましたトビタシネマ!
想像したようでもあり、想像以上でもあり・・・でもその話は後にして、まず映画のこと。

こちらも公開1年、初めて観ることができた『カンフーハッスル』です。
香港のコメディ監督・スター、チャウ・シンチー(周星馳)の、彼らしい映画でした。彼らしいというのは、主人公である彼が、最初は卑小な人物として登場するということ。

今回は、ワルの強さにあこがれるせこい青年として登場します。舞台は文革前(合ってるのかな? 公式HPにはそう出てますが、30年代の中国みたい)の貧しい人たちが住む集合住宅・豚小屋砦。そこに片手斧をトレードマークに街を牛耳る斧頭会とのいざこざが勃発し、実はカンフーの達人が住む豚小屋砦の住人との抗争がどんどんエスカレートしていきます。

武術指導では有名なユエン・ウーピン、サモ・ハンが指導に回り、往年のカンフースターが演じるカンフーは、コメディといいながら力強いものです。何でもありな香港映画でも、ここまでの技を繰り出しながらのコメディというのはないのではないでしょうか。
ブルース・リーを尊敬するというチャウ・シンチーは、まじめに描くべきところはまじめに描いています。
映画表現の思い切りの良さに感心しました。

さて、今回の映画館、トビタシネマは関西の映画ファンには有名な映画館、だと思います。3本だて800円(夜10時以降は500円らしい)という安さだけでなく、例えば今回なら『カンフー・ハッスル』、『ブラザーズ・グリム』、『戦争のはじめかた』というマニアックな上映作品です。(ちなみに上映時間が雑誌掲載のものと違っていて、『ブラザーズ・グリム』も途中から観ました。)お隣は邦画3本立ての飛田東映。

女性にはお勧めできません・・・いないから。場所は名前の通り飛田ですから釜ヶ崎と一体的、周辺はレトロとも言える街が広がり、外を歩く人と観客はほぼ同じ、上映中もあちこちでタバコ吸っているという環境です。注意書きがあって、服が汚れても責任は持ちませんという。(別に汚れませんでしたけど)

入れ替え無しで、みな長時間過ごしています。
往年の映画全盛期を知る日雇い労働者の人たちが観に来ているのかもしれません。
そういえば、館内で売られているお菓子はおつまみや駄菓子の類でした。
非常に貴重な存在の映画館ですから、このまま続けてほしいと思います。

来週は『ワンナイト・イン・モンコック』、『オー・ブラザー!』『マイ・ボディガード』の3本立て。
これまた魅力的です。
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2006年2月20日 (月)

ベルギー映画『ある子供』

原題"L'Enfant",英題"The Child"、
2005年、ベルギー=フランス、95分
監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
舞台・ロケ地:ベルギー・スラン
※2005年カンヌ国際映画祭 パルムドール大賞

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「ある子供」についての映画です。
と言ってしまっては全然説明になってないようで、それでもいいようなシンプルな映画です。

ベルギーの寂れた鉄鋼の街・スラン。
20歳のブリュノと18歳のソニアという若いカップル(未婚)に子供ができるのですが、盗品を売りさばいて生活する若い父親・ブリュノにリアリティはなく、子供も金になるなら換えてしまおうと考えるような始末。果たしてブリュノはまっとうな道に足を踏み出すことができるのか?という映画です。二人がじゃれ合う姿を見せることで子供が産まれる前の生活を説明する描写がうまく、変わらないブリュノと対照的に、母の自覚を持って過去の自分を脱しつつあるソニアの姿が鮮やかです。

ソニアがブリュノを探し回るオープニングに始まって、話は決してフラッシュバックすることなく、前へ前へと進んでいき、二人の関係や取り巻く人々、環境は自然に説明されていきます。
見た目のシンプルさの裏で、シナリオや撮影は相当綿密に練られているそうです。
たとえば料理でもシンプルなものほど難しいのではないでしょうか。
そんな味わいのある映画です。

この映画は梅田ガーデンシネマで観ました。
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2006年2月14日 (火)

中国映画『単騎、千里を走る』

原題“千里走単騎”、英題“Riding Alone for Thousands of Miles”
2004年、中国=日本、108分
監督:張藝謀(ジャン・イーモウ)、降旗康男<日本パート>
舞台:中国雲南省麗江市、石頭村、日本・男鹿市、横浜市

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ローカルな映画館で映画を観るシリーズ?
今回は淡路東宝1で『単騎、千里を走る』を観てきました。
これは文化を徹底的に破壊した文化大革命後の1978年に中国で大々的に公開され、大きな影響を与えた『君よ憤怒の河を渡れ』の主演・高倉健に惚れ込んだ監督・ジャン・イーモウが、高倉健のために作った映画です。そして意図はもう一つ。それは後で書きましょう。

高倉健は、かつての確執から互いに会うこともなくなった息子が重い病気になったと聞き、会いに行きますが会ってもらえません。民俗学者である息子が、ある名人の仮面劇を撮影しようとして未だ果たしていないと知り、今更ながら息子の心に触れたいと、ひとり雲南省に撮影に向かうという話です。この映画は「仮面劇」というのが象徴的な意味を持ちます。

道中を助けてくれるのは日本語の拙い通訳。ただ撮影するだけだから簡単かというと、これを解決するためには別な問題を解決しなければならない、とどんどん奥地へ、深みへと向かうことになります。
ついにはトラクターでしか行けないような奥地、石頭村(石頭は中国語で「石」です。石村)へ。
そこで孤独だった高倉健と素朴な村人が心を通わせることになります。

この映画、高倉健への思いは溢れるほどで、彼らしさを十分に尊重しています。
また、最初は日本パートから始まるのですが、あれ、随分日本的な画面だなと思っていたら、日本の降旗監督ら全て日本スタッフによるものだとか。これもジャン・イーモウ監督の希望だそうです。

日本人と中国人が互いに反発を強め合うこの頃、とくにネット上ではそれぞれで激しい言葉が飛び交っています。それに対して、この映画に登場する中国人は寛容で、‘情’を重んじ、旅人のために便宜を図りますし、日本人高倉健も思いやりをもって中国人に接します。ここにジャン・イーモウ監督の今の中国人に向けた痛切なメッセージを感じます。「本当は、みなさん中国人はもっと‘情’を重んじ、互いを尊重する人たちではないのか」と。

ちょうど『中国が「反日」を捨てる日』を読んでいたこともあり(今の反日の背景を知りたい方、ぜひ読んでください)、今の互いの状況に思い至って仕方ありませんでした。公式HPには監督から、パンフにも載っていないメッセージがあります。ぜひご覧ください。(オープニングをスキップしないでくださいね)
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さて、淡路東宝1は、淡路駅の西側に続く商店街のアーケードにあります。淡路は下町の雰囲気が残る街で、商店街も人通りが絶えません。面白いのが、映画館の待合室から商店街が見下ろせること。この淡路という街の雰囲気が味わえるよい設計だと思います。映画館自体も大きく、観客も少ないので(それは善し悪しですが)、ゆったり観ることができました。ちょっとレトロな雰囲気の映画を観るにはぴったりのロケーションじゃないでしょうか。
ちなみにラガールカードを提示すると割引があります。
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2005年12月20日 (火)

台湾映画『僕の恋、彼の秘密』

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“17歳的天空”(17歳の空)、2004年、台湾、93分
監督:DJチェン

この映画の感想は、書こうか書くまいか迷いました。
が、やはり書くことにします。

私はどこの映画が好きと聞かれると、台湾!と迷わず答える台湾映画好きです。
それは三番街シネマで侯孝賢の『冬冬の夏休み』を観たのが、劇場で映画を観るようになったり、アジア映画好きになったきっかけだということもありますし、その後も、楊徳昌(エドワード・ヤン)や陳玉勲作品など、とてもいい映画に出会えたことがあります。情感のいい映画が多いんです。

しかし、台湾映画は台湾で人気がないらしく、今ではほとんど映画が撮られていないようで、日本公開となるとさらに少なくなります。年に数えるほど。なので、台湾映画好きとしては、とにかく来るものを拒まずで観ることになります。

いつもながら前置きが長くてすみません。
だから、『僕の恋、彼の秘密』も絶対見逃さないつもりで観にいきました。上映館は梅田ガーデンシネマ。

話としてはシンプルなゲイのラブコメディです。田舎のウブな青年が都会の台北に出てきて恋をする。
いくらゲイ映画でもここまでゲイ(しかも男だけ)しか出ないのは珍しいのではないかと思う徹底ぶり。
誤解なきように書いておくと、私はゲイ平気ですので、それが嫌なわけではありません。自分は違うけど。
筋が恥ずかしくなるぐらいシンプルなんですよ。タイトルにある「彼の秘密」というのに納得がいかないのも一因。結構、テンポはいいんですけどね。朱延平(チュー・イェンピン)みたいといえば、分かる人には分かるでしょうか。(誰でも分かるたとえじゃなくてすみません)アイドル映画として鑑賞すべきなんでしょうかね。
・・・でも、出てくる登場人物のうきうきしてる雰囲気がよいのでよしとします。

(一つ気になったんですが、失恋を嘔吐で表現するのは台湾文化なんでしょうか。)

以下、長い余談ですので、お好みで。

この映画のかかっていた梅田ガーデンシネマ(とシネリーブル梅田)は、梅田スカイビルにあって、3つの理由で好きな映画館です。
1.梅田から長いトンネルがあって、現実の世界と映画の世界にワンクッション置いてくれる(余韻にひたれる)
2.映画館の待合いからの眺めがよい(梅田貨物駅が目の前に広がります。いつまでかな)

そして
3.梅田スカイビルの広場でよくイベントをやっている。

ちょうど、このクリスマス前の時期は、毎年ドイツ・クリスマス・マーケットをやっていて、ドイツの屋台が並びます。まして今年は日本におけるドイツ年。この寒いのに結構賑わってました。
映画前や後に買い食いするのが、プラスアルファの楽しみです。

今回は、においにひかれて、砂糖がけアーモンド(とカシューナッツ)を買って帰りました。ドイツのおじさんが屋台の大鍋でこのお菓子を作ってます。棒で混ぜるたびにアーモンドにバニラ・カラメルとシナモンが焦げた甘〜い香りが漂っていて、ドイツの子供ならいてもたってもいられない気分になるやろなあと思ってしまいました。大人でも顔がほころびますよ。

↓このお菓子については、こちらの方が紹介されてました。
http://www.geocities.jp/deutschebaeckerin/KondiDE/
GebrannteMandeln.html

おいしそうでしょう?

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2005年12月19日 (月)

日本映画『下妻物語』

“下妻物語”、2004年、日本、102分、監督:中島哲也

公開時にも少し観ようかなと思いながら、ポスターだけで(少女漫画原作は・・・)と思って見送った『下妻物語』(実際の原作は小説なんですけどね)。映画仲間のお勧めもあって、CS放映されたのを見ました。
皆さん、これはとっても面白い映画です! とりあえず香港映画好きに勧めますが(笑)

簡単に言ってしまえば、茨城県下妻市を舞台にしたロリータ少女(深田恭子)とヤンキー少女(土屋アンナ)の友情物語です。
それだけ聞けば、 ヤンキー少女が話を引っ張るのかなと思いますが、さにあらず。
ロリータ少女は実に達観していて、根性が据わっているんです。経済的には自立してないけれど、精神的には自立していて、とても強い。ヤンキー少女も弱くはないんですが、ロリータ少女のすごい部分(根性や刺繍の腕)を認めています。認める素直さが彼女の取り柄。その友情もありがちなものではなくて、見た目には互いに好き勝手言ってるんですけどね。でも互いに必要としている。

基本の話はそれとして、展開されるのは、はちゃめちゃなストーリー。
CM出身の監督だからでしょうか、実にバランス感覚が良くて、あちこちで脱線して笑いを取りながら、すっと本筋に戻る鮮やかさ。映像的にもフィルターをかけたり、CG、アニメ、CM風、再現映像、ドキュメンタリータッチのざらざら映像まで、音楽はロックからクラシックまで、みごとにミックスさせてます。セットの作り込み方もたいしたもの。楽しんでもらおうというサービス精神が過剰なくらいに旺盛です(ここが香港映画好きに勧める理由)。陳腐な表現とは対極なんですよ。
俳優陣も舞台俳優ら個性的な面々が集まっていて、さりげなく、でもしっかりアピールしています。

ロココなんだというロリータ・スタイル(生き方、ファッション)とヤンキー・スタイルの対比、舞台になる下妻、代官山、尼崎の対比、下妻にとどまらず日本の地方を象徴する、水田、ジャスコ、パチンコ店の3点セット(ついでにシュールな牛久大仏)といった舞台設定の鮮やかさは原作者によるものでしょう。これもみごとに映像化されています。

この映画は、ポスターを見ただけで「やめとこ」と思ったり、笑いの品に眉をひそめる人も少なからずおられると思います。でもちょっとでも興味を持ったらぜひ80分間だけ価値観を空にして、ご覧になってみてください。
見終えて、見た目で判断してはいけないんだ、と思う方が出てこられればうれしいです。 <追記>『下妻物語』の公式HP http://www.shimotsuma-movie.jp/ は非常に充実しています。「映画を観た後に」ぜひご覧ください。 .....

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2005年12月 4日 (日)

中国映画『世界』

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92年2月。私は半年間の中国滞在を締めくくる中国南部への旅行に出ていました。
その旅も終盤、福建省の田舎町に泊まり、期待通りに古い町に出会えて喜んでいた私に、福建省出身のお茶売りの青年は言いました。「こんなところに来てどうするの? もっと面白い所に行けばいいのに」「面白い所って?」「深せんとか」
当時、広東省の深せんには中国の名所を集めたテーマパークが出来ていました。
そのときは(そんな作りもの見たってしゃあないやん)と思っただけでしたが、これが中国の地方に住む人たちの普通の感覚なのでしょう。
その2年後、中国映画『世界』の撮影に一部使われているテーマパーク『世界之窓』がオープンします。
中国の人たちの目が、中国から世界へと広がっていたわけです。

前置きが長くなりました。久しぶりに梅田茶屋町のテアトル梅田でジャ・ジャンクー監督作品『世界』を観てきました、というご報告です。茶屋町自体も久しぶりだったので、nu茶屋町をのぞいたりも、ついでに。
テアトル梅田は混むことが多いので、念のため早めに行きましたが、別にそんな必要もなく、半分以下の入りでした。今時、中国映画は流行らないんでしょうか。かといって、結論から言うと、この映画を勧めるかというと、万人には勧めにくい。『オールド・ボーイ』や『親切なクムジャさん』とは別の意味で。でもこの人に、という人には勧めたい映画です。

ジャ・ジャンクーはこれまで一貫して山西省の田舎町で取り残されて焦っている青年を描いてきました。
それは日本で伝えられる中国の輝かしい成功物語でも、悲惨さでもありません。もっと共有できるレベルの痛み、焦りです。

それが今回の舞台は大都市・北京。しかし、監督のスタンスは変わっていません。解説を読むと、この映画はどんどん人が出ていって孤独を感じている故郷の従兄弟のために、北京(都会)がどんなところかを説明するつもりで撮った映画だそうです。だから、物語はまだ山西省とつながっています。登場人物は多くが山西省人なんです。加えて、温州人(浙江省の出稼ぎ・商売で有名な町の人たち。フランスに出国する人も多い)やロシア人も登場する一方、北京人は重要な役どころでは出てきません。世界中に人が出稼ぎに出る中国に、ロシア人は出稼ぎにやってきています。そういう意味で中国の田舎と位置的には同じ。

今回の映画は北京の『世界公園』という1/10スケールの世界の名所が集まるテーマパークが舞台になっていて、そこで働くダンサーと警備員、周辺の建設現場で働く人たちが主な登場人物です。年齢的には20代で、結婚も考えようかという年頃。でも置かれている状況は不安定で、一見、あらゆる可能性があり、世界が近いようでいて、現実はたびたび画面に出てくる通路のように狭い世界です。

ジャ・ジャンクーの描く北京は希望に満ちたものではありません。
でも「一瞬の夢」かもしれないけれど、恋人同士や仲間同士の気持ちが通じ合い、輝く瞬間瞬間もちゃんと描いています。甘くはない代わりに、暖かみの感じられる視線です。
主人公であるダンサー・タオの恋人であるタイシェンはだらしないところもあるけど、仲間思いのいいところがあるように、あまり人間的にできた人っていうのは出てきませんが、弱い人が多くて、悪い人は少ない。ロシア人ダンサーと言葉が通じなくてずれながらも、肝心のところは通じ合っている交流の描き方など、機微の描き方が繊細といえるでしょう。

この映画に出てくる人たちは国際空港にも近い、「世界」のテーマパークの周辺に働きながら、狭いところに押し込められ、ほとんど世界との接触はありません。しかし、その彼らの抱える悩みや焦りは、確実に世界の都市に住む若者の気持ちにつながっています。彼らは気づけないけれども。

この映画は、ある意味、台湾映画の描く世界に近いような気がします。
台湾映画好きには勧めていいかなと思います。音楽が林強ですしね。
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2005年12月 3日 (土)

またしても最後に・・・

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セレッソ大阪の今季最終戦・FC東京戦を長居スタジアムに見に行ってきました。
ただの最終戦ではなく、優勝のかかった大事な試合。
試合経過がどうなったかは、皆さんご存じの通り。残り5分で追いつかれて2−2のドロー。優勝を逃しました。

注目試合だけに4万3千人あまりが入ったのですが、雰囲気としてはそんなに悲壮感はありませんでした。
出遅れたので、まさか残り1試合でトップに立つ=優勝に一番近い位置につけるとは、というのがもともとあったかもしれません。それは良かったのか、悪かったのか。

同点にされたときはさすがに呆然。
その瞬間、まだ時間が残っているのに選手がへたりこんでしまって、ボールを持ってセンターサークルに走るファビーニョについていかなかったのが少し残念でしたが、選手はシーズンを通して見て、またこの試合も、よく我慢して走り回ってくれたと思います。
天皇杯も含めて、これで5度目の決戦敗退。でもあまりとらわれないように期待します。

さあ次は得意の天皇杯。

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<みんなが帰ったあとの長居のシート>

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