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2013年5月14日 (火)

旧ジョネス邸の内覧会に参加(神戸市)

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5/11(土)、神戸市垂水区塩屋の旧ジョネス邸で内覧会があると聞き、せっかくの機会ですので出かけてきました。塩屋駅を海側に出るともうそこ。
このあたりは山が海に迫っていて、JR山陽本線、国道2号線、旧ジョネス邸があって、もう海です。

この駅近かつ海が眺められるという立地のため、旧ジョネス邸を解体してマンションを建てる計画があります。既に隣はマンションですが、これを上回る10階建てのマンションです。

ただ、所有者のあなぶき興産は、6月末までに3億6000万円(取得金額にモデルルーム建設費、設計料等々加えた額)で購入する目処を付ければ売っても良い、採算性のあるビジネスを提案できれば貸しても良いとの意向だそうで、同社のご厚意で今回の内覧会となったそうです。もしかしたら次回もあるかもしれません。他のケースよりは協力的かと思います。

 詳細・経緯については→ 旧ジョネス邸を次代に引き継ぐ会(KJHK)

(追記)
 第2回の内覧会が、6/15(土)に開催されるそうです。
 今回は旧グッゲンハイム邸、旧後藤邸も公開。シンポジウムもあります。
 →詳しくはこちら

(2013.5.28記)

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私の着いたのは夕方でしたが、見学者は絶え間なく訪れていました。
ご近所の方は外から眺めていても、中に入るのは初めてという方も多かったのではと思います。
この日一日で500人以上の方が訪れたそうです。

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※クリックすると拡大します

ちょうど雨がやんでいたので先に外観を見に行きました。
建物の南側(海側)は広い芝生の庭になっていて、大きなフェニックスが2本立っています。

英国人貿易商のジョネス氏は、大正8年に今より500m東の海岸にこの和洋折衷の洋館を建てたそうです。塩屋のあたりはもう一つの異人館街でした。

ジョネス氏は第2次大戦が始まると国外退去となり、弁護士の山田作之助さん(故人)が取得しました。国鉄の線路拡幅で取り壊しの危機にあった昭和38年に、この場所に移築されたそうです。相当な金額がかかったと思いますが、そうまでして残そうと思ったのですね。

また山田さんは塩屋でのマンション建設に反対し、塩屋の良好な環境を守るために尽力された方だそうです。そんな話は港まち神戸を愛する会の中尾嘉孝さんから伺っていたのですが、私が見に来るのは初めてです。

改めて建物を見上げると、柱のてっぺんが寺院建築の斗栱(ときょう)のようで、また屋根の裏にも垂木のようなものがあってユニークです。構造的な必然性はありません。「擬洋風」の逆の「擬和風」という説明になるほどと思います。
英国人からの日本趣味なのですね。

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南には庭に降りる扉と階段があります。
庭でパーティーなども開かれたのでしょう。

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さて、再び入口へ。
車寄せを6本の柱が支えています。
阪神大震災後は、支えが追加されています。
列柱の面白いのは、石を彫るのではなくて、単純な柱に漆喰かなにかでアカンサスのレリーフを追加してあるのですね。

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玄関灯には和風の花模様が入っています。

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玄関は来場者の靴でいっぱい。
これは帰り際に撮ったのでまだ少ないですが、ブルーシートの所までいっぱいでした。

今回、企画をされたのは、塩屋まちづくり推進会旧ジョネス邸を次代に引き継ぐ会(KJHK)の皆さんで、事前のお掃除をされたり、当日の会場案内をされていました。

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玄関はいきなり和風で、折上げ格天井です。
これを玄関に持ってくるとは。

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玄関前にはホールがあって、その向こうは庭に面する居間です。

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ほんとはホールと居間の間には、大きなステンドグラスが2枚はまっていたのですが、保存のためか神戸市が持って行ったそうです。この場でみられずに残念。
ステンドグラスがあったときの写真を並べていただいていました。

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向かって左は応接室です。
ここが一番豪華な部屋で、見事な彫刻の家具で囲まれています。

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例えば、この椅子。
国産の横浜家具だそうです。

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鏡付きのキャビネット。
(正確には何と呼ぶのでしょう)

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※クリックすると拡大します

かなりこってりと彫刻で埋められています。

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洋風かと思いきや、竹に雀という純和風のモチーフも盛り込まれていて、ここでも和洋折衷です。

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1階には台所や風呂場、座敷などもあるのですが、長くなるので省略して、2階に上がります。
(地下室もありますが、今回は非公開でした)
階段の親柱。シンプルですが、象嵌があります。象牙かもとのことでした。同じような象嵌が窓枠にも使われています。

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2階の書斎。山田氏の法律書もそのまま残っていて、仕事部屋だったようです。
ここにも立派な彫り物の暖炉、テーブル、椅子、本棚があります。

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2階の南側は、海を眺める気持ちの良いスペースになっていました。あいにく今日は海が霞んでいます。

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その隣には和室が2間。

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欄間は波に千鳥。

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ふすま絵は、モダンデザインの松林。
このデザインすごく気に入りました。

この家自体が海岸にありながら、松林を部屋の中にも取り込んでいます。他にも松林の油絵などが飾られていました。ジョネスさん、この環境を満喫されていたんですね(山田さんの方かもしれませんが)。

見れば見るほどすごいお屋敷です。

あまり関わりのない私が偉そうなことは言えませんが、この建物を活かすよりマンションを建てた方がいいという価値観は変わってほしいなと思います。塩屋のブランドを販売に活かしつつ、ブランドを下げるような開発(海への眺望が遮られる)をするのもどうかなと思います。幸いマンション会社が協力的なので、無事に活用の道が開かれることを期待したいところです。

買い手を見つけるために、ぜひ広めてくださいとのことでしたので、微力ながら記事にしました。
スタッフの皆さま、あなぶき興産さん、この機会をありがとうございました。

旧ジョネス邸の保存活用の運動については、下記のリンクをご覧下さい。

 旧ジョネス邸を次代に引き継ぐ会(KJHK)
  同会の旧ジョネス邸保存要望の署名ページ
 
 塩屋まちづくり推進会ブログ
 塩屋百景「【号外】旧ジョネス邸保存を!」
     「5/11(土)旧ジョネス邸内覧会(保存活用求む!)」


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コメント

しばらくです。
ジョネス邸行かれたのですね!
あの不思議な外観なので内部を見たいと思っていました。
見学会を前日に知ったのですが、建築めぐり講座の日だったので断念し、
誰かの報告を待っていました(笑)。予想通り興味深い内部ですね。
次の機会があれば是非行ってみたいです。

投稿: ぷにょ | 2013年5月17日 (金) 14:58

ぷにょさん、こんばんは。
何人か知り合いの人には会ったのですが、ぷにょさんやひろさんは来られてないかなと思ったら、建築めぐり講座だったのですね。
くどくなるので少ししか紹介しませんでしたが、木製家具の数々が素晴らしいです。
まだ機会があるかもしれませんので、その時はぜひ!

投稿: びんみん | 2013年5月17日 (金) 23:50

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