浜甲子園経営地あたり(西宮市)
武庫川支流・枝川の廃河川跡に開発された住宅地を歩くシリーズです。
阪神甲子園駅を越えて、さらに海に向かいます。
阪神甲子園駅前の両側には松林があるのですが、これはもともと川の堤防に植えられていた松のようですね。そう思うといくらか川の流れがイメージできます。
甲子園といえば、甲子園球場。
こんな至近距離に団地があります。
<甲子園開発後の状況。明治20年頃の2万分の1地図をベースに作成>
※クリックすると拡大します
今回の記事ではこの先の浜甲子園経営地あたりを紹介します。
昭和初期に阪神によって開発された住宅地です。『近代日本の郊外住宅地』所収の角野幸博氏「甲子園/西宮」の項で紹介されていますので、これを参考にします。
昭和元年には地区内を路面電車が走りました。
<昭和7年修正測量 仮製版1万分の1地形図「西宮首部」陸地測量部発行をベースに追記>
※クリックすると拡大します。
昭和7年の時点では、まだ住宅が建っているのは一部のようです。浜甲子園の宅地は中甲子園住宅地より小さく、100坪未満の住宅も多かったといいます。さらに貸家経営のため、購入者による敷地分割も行われました。
この住宅地には上水道、都市ガスが通っていたそうです。周辺にレジャー施設がたくさんある状況も地図から分かると思います。
隣にある浜甲子園健康住宅地については、次回から紹介します。
路面電車の走っていた通りをはさんで、まずは東側から歩きます。
これは長屋住宅です。石積にも昔の面影が残っています。
丸窓のある住宅。玄関の支柱が階段状の持ち送りになっているのが面白いと思います。
きれいに改修されていて、古いかどうか分からない住宅が多いようです。
富士家アパートの壁の飾り。
うっすら富士山が描かれています。
一風変わった洋館部をもつ住宅。
和館部分は杉皮張りの壁です。
よく見ると古く見える住宅。
左に見える木造の小屋がいい雰囲気です。
懐かしい板壁の住宅。
板壁の木戸がいい感じに灼けています。
ノミ跡のような模様入りです。
この住宅は古そうには見えないのですが、細部を見ると気になるところがあります。
窓が格子のステンドグラスになっていたり、窓枠が木だったりしています。
ちょっと見にくいですが、四角い洋館部付きの住宅。
路面電車通りに面しています。
今度は通りの西側です。
西側には敷地の大きな住宅があります。
門が非常に立派。
灯籠風というのか、甲子園住宅地でいくつか見かけたスタイルです。
その中でも一番立派かも。
建物には丸いステンドグラスがはまっています。
バラと長方形分割デザインの組み合わせです。
その隣もいいのですが、残念ながら空き家のようでした。
門が昔のまま残っているようです。
ボーダータイルをずらしながら貼ってあるのがいかにもです。
浜甲子園経営地あたりまで歩いてきてようやく、近代の住宅地らしさを十分に感じることができました。
<関連記事>
「上甲子園経営地を歩く」(2013年1月)
「中甲子園経営地から七番町経営地とその周辺」(2013年1月)
「甲子園住宅地の境目を歩く」(2008年11月)
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