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2013年1月

2013年1月29日 (火)

元遊廓の旧川本邸2012(大和郡山市)

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昨年のHANARARTに合わせた奈良訪問の記事、最後に前年も紹介した旧川本邸を紹介します。
旧川本邸は大正13年に建てられた3階建ての元遊郭です。解体されそうになって市が購入したのですが、耐震性の問題などがあって手を付けられず、2010年から旧川本邸保存活用プロジェクトさんが入ってお掃除や手入れをされ、たびたびイベントなどに公開されています。

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まずは玄関から。

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入ったところから異空間。
枯山水の庭にカラフルな砂絵が描かれています。

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建具などは非常に手の込んだものが使われています。

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中庭も驚いたことにこんなにカラフルに。
何かに似ていると思ったのですが、さっき気付きました。
アクアリウムみたい。

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こちらはさらに奥のお庭です。
非常に採光が良いガラス戸です。

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2階への階段。
松の枝が転げているような配置がおもしろい。

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おなじみのハートの窓。
塗りかけている?

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2階に上がると、やはりさっきの中庭がぼんぼりのように光っています。
最初に旧川本邸を訪れたときは確か板戸を締め切っていたので、随分明るくなった気がします。

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今回、3階は立入禁止で、階段も作品の一部となっていました。

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狭い廊下。そこに射す光がきれいです。

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先ほどの中庭もこちらから見るとさらにいい色を出しています。

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テーブル一面に描かれた絵。
激しい色づかいですが、意外と場に合っています。
考えてみると部屋は落ち着いた色合いでも、かつては着飾った女性が大勢行き来していたのですよね。これぐらいの色を入れて初めてバランスするものなのかも。

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格子戸の内にはたくさんの色水のビンが並べてありました。

今回、旧川本邸を再訪して思ったのは、最初に訪れた時の重苦しさがなかったことです。一つには今回のアート作品で色が放り込まれたためかもしれません。でも健全な若者が掃除に入って、風通しがよくなったことで、建物自体が性格を変えて明るくなったのかなとも感じました。


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畝傍駅の貴賓室(奈良県橿原市)

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八木の町からその日はJR畝傍駅で電車に乗りました。
この駅は明治26年に開業しているのですが、この駅は天皇家の畝傍御陵(神武天皇陵)参拝のために作られたのだそうです。さらにこの駅舎は橿原神宮紀元2600年(昭和15年)祭式典に合わせて作られたそうで、まさに天皇家のための駅。

ホームが少し高くなっていて、階段で上るようになっています。
厳かないい雰囲気。
手前は一般用の階段ですが、右奥は・・・

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貴賓室につながる階段です。

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貴賓室にはまず広い廊下があり、そこからまた扉があって、主室になっています。
主室は立入禁止なので、控えの間から撮っています。
さすがに赤絨毯に折上格天井の立派な部屋。木部は台湾ひのきが使われているそうです。

昭和34年以来、貴賓室は皇族の利用がなく、開かずの扉となっていたそうです。
一年前のHANARARTで特別公開され、私もそこで開かれた「ハーブ&ドロシー」の上映会を見に行ったのですが、主室はよく見られませんでした。今回もHANARARTの展示会場としての公開で、今回はちゃんと見ることができました。2011年の公開以降は何かとイベントに公開されているようではありますが。

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玉座。重々しいカーテンがかかっています。

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駅には現在使われていませんが、団体用の出入口もあります。
屋根の構造がいい感じです。
かなり特殊な駅ですね。

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ホームの柵もちょっとおもしろい。
駅全体が記念物になっています。

行く先々で目にする紀元2600年の記念物が気になっていたところ、ちょうど『紀元二千六百年 消費と観光のナショナリズム』という本があったので読みかけています。


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2013年1月28日 (月)

八木のディテール(奈良県橿原市)

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田原本町を訪ねた後、同じくHANARART会場の八木にも立ち寄りました。こちらは昨年に続いて2回目。
隣の今井町の方が有名ですが、八木も古い街並みがあります。
初瀬街道と中街道が交差する場所に旧旅籠の「東の平田家」があり、昨年(平成24年)7月14日に八木札の辻交流館として改修されオープンしました。細い四つ辻なのですが、地図で見ると東西も南北もずっと先まで真っ直ぐ続く大きな交差点です。旅籠の立地としては超一等地ですね。
建物はかなりきれいに改修されていて、ほとんど古さを感じさせません。

この交流館の中など、八木には気になるディテールがいくつもありましたのでまとめて紹介します。

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まず、交流館にあった家具の引き手。
牡丹の線刻が施されています。

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また、こちらの引き出し。
笑顔に見えませんか?

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八木の街並みはこんな風に大きな商家がぎっしりと並んでいます。

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旧植田折箱店。
中庭に向かっての格子がとても繊細です。

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またショーケースの飾りは、これはアールデコではないでしょうか。神戸の新港貿易会館の格子にも似ている気がします。

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ある玄関口。
コンクリートにちょっとこんな模様を入れるだけでおしゃれな印象になります。

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最後に八木動物病院さん。
なんとなく気になる字体だな・・・とよく見ると細長いタイルを繋いで字にしているようなんです。
この手間の掛け方がおもしろいですね。

急ぎ足ながらもいろいろ気になるディテールを見つけることができました。


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2013年1月27日 (日)

田原本を歩く(奈良県田原本町)

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これも昨秋のことなのですが、HANARARTの会場の一つだった田原本町を訪ねました。
田原本町の名前は以前から知っていましたが、訪ねるのは初めてです。
行ってみると古い町並みが残るいい町でした。

駅前近くにある扇屋さん。
寿司やうどんなどいろんな看板がかかっていますが、老舗らしい雰囲気を出している料理屋さんです。

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歩いているとこんな一角も。
左の小屋は「タライ持ち込みを禁ず」とか注意書きがあったのですが、何に使われていたのでしょう。

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田原本町は寺内町で、この浄照寺と本誓寺の2つの寺が並び立っています。
庭に作品が展示されていました。

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江戸時代の町割の名残として、慶安元年(1648年)に整備されたと考えられる背割水路が残っています。
江戸時代を通じて、田原本には旗本・平野氏の陣屋があり、大和川水運の物資の集散地として栄えたようです。(弥生時代の唐子・鍵遺跡があったり、古代から開けていた土地です)

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田原本町には近代建築もいくつかあります。
一つは旧奈良中央信用金庫本店です。前身の田原本町信用組合が昭和23年に設立されていますが、この建物は昭和8年のものらしいので、当初は何の建物だったのでしょう。
(年代はまちづくりマップ「寺内町田原本」より)

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また日本聖公会の田原本聖救主教会・礼拝堂という教会もあります。
最初の教会は明治20年にできたそうですが、現在の教会は昭和8年に完成したそうです。
NHKの朝のドラマ「芋たこなんきん」にも使われたと解説板にあります。
十字の入った菱形窓が印象的です。

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黒塗りの重みのある建物。
「おきな筆」、「古梅園製墨」、「奈良県教育会選定ノート大売捌所」、「国定教科書取次販売所」といった古い看板がかかっています。

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屋根の上には「文房具卸商 鍵岡分店」の看板。
向かいには「コクヨ製品奈良県販売所」「KAGIOKA SHOTEN CO.LTD.」の文字もあります。(株)カギオカとして今も文具の卸をされているようです。

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その隣に鍵岡本店があって、昭和12年の建築です。
骨董店の古今洞を営業されていましたが、前店主の没後20年、手を付けられていなかったそうです。

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ここもHANARARTの展示会場の一つになっていました。
一見いい感じの骨董店なのですが、骨董店を鍵岡家ご兄弟と作家、キュレーターさんで、清掃・整理・商品の抜粋と陳列をして再構成されたものなのだそうです。なんと大がかりな。
その上、あちこちに現代の作家さんの作品がちりばめてありました。
会期だけなのがもったいない感じです。

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例えば、こんな骨董品が置いてあります。
茶托でしょうか。

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田原本町にはどこまでも古い町並みが続いています。

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懐かしい感じの床屋さんも。

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部分的に洋風になっている建物。

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ちょっと変わったラインのタイルも使われています。

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田原本町の町中でも凝った意匠がたくさん見かけられて、そのうちのいくつかを最後に紹介します。
この格子戸や戸袋、とても繊細ですね。

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軒下の鶴の飾り。
リアルな彫刻です。

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虫籠窓の飾り。
はっきりしないのですが、獅子と牡丹でしょうか。

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柱の根元保護部材。
波のデザインが入っています。

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この扉も繊細な格子が入っています。

こういったところからも文化度の高さを感じます。
それまで意識しなかった町ですが、イベント会場になったことで私も訪れるきっかけになり、同様に訪れる人が増えたのは良かったのではないでしょうか。


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2013年1月20日 (日)

名柄散歩(奈良県御所市)

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奈良・町家の芸術祭HANARART2012で、御所市の名柄会場を訪ねました。
前回の続きです。

順番が前後するのですが、最初に訪ねたのは長柄神社です。
祭神は下照姫(大国主命の娘)で、ちょっと珍しいかも。
集落は名柄だけど、神社は長柄。音の方が意味をもっているのでしょうね。
境内もアート会場になっていました。
奥の方にたくさんの風車が並び、紙の蝶が舞っています。

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こちらもかわいらしい作品。
奥に見えるビンもそうで、顔を描くだけで、神社の片隅に置くと精霊のようです。
大淀高校美術部の皆さんによるものです。

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こちらは自宅を開放した会場。
ご夫妻が絵を展示されていました。
こういったお宅にお邪魔できるのもうれしいことです。

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雰囲気のいい鍵状の道。

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材木屋さんなので、たぶんいい材を使っているのだと思います。

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向かいの倉庫もいい感じに古びています。

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黄色いのはホーロー看板。
書体もレトロです。

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売り物件になっている古い民家。
マップにも載せて紹介されていました。

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会場の一角では、地元の方によるぜんざいの販売がありました。

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集落の小さな天満宮。

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しかし、面白いのが「大阪木綿屋中」の寄進灯籠。
ここはかつて綿の産地で、大阪の木綿問屋とつながりがあったのですね。

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この会場で個人的に一番面白いと思った展示がこれ。
個人的に集められた鬼瓦が展示されているんです。
瓦の人形がお出迎え。

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謎なデザインですが、こういう鬼瓦のバリエーションを並べて見ることができて非常に興味深いです。
近くに瓦の産地があったのだそうです。

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湯気が立ちのぼるような面格子。

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水の良い所で、葛城酒造という酒屋さんがあります。

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中村家住宅は、代官所として使われたこともあるという由緒ある建物です。

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軒下に吊られているこれは消防ポンプでしょうか。

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街道筋にこんなアーケードが。

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この建物は旅館だったそうです。

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カフェも営業していました。

普段は静かな集落ではないかと思うのですが、イベントのためにあちこちが公開されていて、訪ねる良い機会となりました。

<関連記事>
 「旧名柄郵便局」


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2013年1月14日 (月)

旧名柄郵便局(奈良県御所市)

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五條市につづいて、御所市の名柄地区を紹介します。
この地区は近鉄・JRの御所駅から南に2.5kmほど。金剛山麓の高台にある街道の集落です。
一帯は古代豪族葛城氏の本拠地ですので、非常に歴史の古い地域です。

今回は奈良・町家の芸術祭HANARARTの会場となっていたので訪れました。
中でも一番見たかったのが今回特別に公開されていた旧名柄郵便局です。

明治時代に建てられた郵便局舎で、外観は明治時代の姿を留めているようです。
扉の桟が「〒」マークになっているんですよ、と教えていただきました。

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全体はこのようになっています。
昭和50年まで使われていたそうです。
ちなみに左の家は堺屋太一さんの生家だそうです。

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今も残る上げ下げ窓。
いいですね。

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入口右側のスペースは、夜間公衆電話でした。

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中に入ってびっくりしたのは、昔のカウンターが残っていたことと、残念ながらその奥は崩れかけていたことです。外観はきれいなので、地元の人も開けてみてびっくりしたそうです。

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片隅には公衆電話ボックス。貴重ですね。

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触ると外れそうなぐらい錆びた電話ボックスのドアノブ。
凝ったドアノブであることが分かります。

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部屋の奥には古い扉が残っていました。
奥は非公開です。

この雰囲気のまま修繕できれば非常に良いのですが。

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※クリックすると拡大します

会場配置図です。
この会場は中庭にも入ることができるようになっていました。

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作品としてピンクの立入禁止テープが張られています。
大きな切り株も見えます。
頭上に気を付けつつ奥へ。

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きれいな蔵があります。

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奥まで行って振り返ったところです。
この中庭はどういう使い方をされていたんでしょうね。

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奥の離れ、と言っていいのでしょうか。

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その奥にも蔵がありました。

見るからに傷みが激しいので修復は相当大変ではないかと思いますが、畿央大学さんから観光施設として整備する提案も出されているようで、ぜひ活用していただけたらと思います。


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歴史的建造物を守るためのシンポジウムに行ってきました

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1/12(土)に大阪弁護士会館で開催された「歴史的建造物を守るための専門家と市民とのシンポジウム」を聴きに行きました。

主な内容は次の通りです

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○基調講演
 1「保存問題の今と建築文化遺産の行方」
    京都工芸繊維大学 松隈洋教授
 2「歴史的建造物保護法制の現状と課題」
    上智大学 越智敏裕教授(弁護士)

○保存活動のご報告
 1「京都会館保存運動活動報告」
    岡崎公園と疎水を考える会 吉田和義代表
    京都弁護士会 飯田昭弁護士
 2「大阪中央郵便局庁舎保存活動報告」
 3「今後失われるかもしれない歴史的建造物の報告」
    大阪市立大学 高岡伸一特任講師(建築士)

○パネルディスカッション
 <テーマ>
  「保存すべき建物とは」
  「そもそも保存とは」
  「所有者の意向と市民・専門家の意見の調和」
  「現行文化財保護法制の問題点」など
 <パネリスト>
  ・京都工芸繊維大学 松隈洋教授
  ・上智大学 越智敏裕教授(弁護士)
  ・京都弁護士会 飯田昭弁護士
  ・大阪市立大学 倉方俊輔准教授
 <コーディネーター>
  ・公害対策・環境保全委員会委員 岡崎行師弁護士

*********************************************************

 会場には100人を越える方が全国から来られていました。
 
 内容が難しそうだったので、参加するかどうか迷ったのですが、参加してみてとても良かったと思います。
 一つには、歴史的建造物の保存について、どのような法制度になっているのか簡潔に解説していただけたこと。
 もう一つは、歴史的建造物の保存について考えるべき点についてたくさんヒントをもらえたことです。

 ここでは内容をなぞることはせず、私が印象深かったことだけ記しておきます。
 メモから拾っていますので、ちょっと違っていたらすみません。

○歴史的建造物を保存するための法律・運用を変える
 ・日本の現行の法律では歴史的建造物の保存は難しい
  (建て替えないと損で、保存は所有者の負担が大きい)
 ・民間所有と公有では分けて考えないといけない
 ・保有し続けることにメリットがあるような、
  また公有の場合は簡単に壊せないような、
  建造物保護の団体が不服の申し立てができるような、
  法律やその運用に変えないといけないということで、
  ここは専門家の皆さんに期待したいと思います。

○一般の人に分かりやすく伝える
 ・一般の人が建造物(町並み)に愛着をもつことの大切さ
 ・松隈先生が、市民が建造物をスケッチする姿の大切さ、
  アーキウォーク広島の事例(マップに可視化する・まちあ
  るきで語る→オーナーに伝えてほめる→建築を知れば風景
  が変わる)をあげておられたのは非常に腑に落ちました。

○何を保存すべきか
 (法的には国土の歴史的景観、造形の規範となるもの、
  再現困難のものを保存するとなっていますが)
 ・保存したいと感じるものを保存する。
  残すことで次世代の発見につながる(倉方先生)
 ・無名の建築でも素敵だと認めあう
  
○どう保存するか
 ・文化財指定抜きでも残るシステム(松隈先生)
 ・使いながら保存する
 ・安全性はソフトでクリアできる部分もある
 ・価値を市民が語る、日常的に関心をもつことで変なものが
  できたら叩かれる(松隈先生)
 ・所有権絶対視の緩和
 ・まず自分の地域を読み解くことから
  一番主要な物語・記憶を読み込む(倉方先生)
   =最も残すべきもの

○なぜ保存するのか? 経済・生活の質の面からも
 ・今の高層建築は50年後を考えても経済的?
 ・古い建築は懐かしい友(米)
 ・上手な利用で町の格が上がる(テートモダンの例)
 ・建築というのは「物体化されたみんな」、
  みんなの意識が物体化されたものであり、
  保存することでみんなが拡大することもある(倉方先生)
   →面白い考えだと思います

 全体を通して、
 これは歴史的建造物の歴史的価値の問題にとどまらず、自分たちがどう暮らしていくかの問題なんだなと確認できました。

 そして、残したいと思う環境が残るために、何よりふつうの人が「残した方がいい」「残すべき」と思うことが大事ですね。それは専門家でない自分たちでも取り組めることと思います。
 これまで自分たちがやってきた、街の素敵なものを掘り起こして魅力を伝えるということは方向性としては正しいと思いますが、もっと広く伝わる仕掛けがいるのかなとも感じました。

 こういうことを考えるといつも神戸の善九郎さんのことを思い出します。
 魅力を感じる風景を絵葉書にされているのですが、興味を持った人が訪ねられるよう、絵葉書に必ず地図を入れておられます。また、民家を描かれた場合は所有者にプレゼントされると聞きました。
 例えばそういうことなのでしょう。

 考える良い機会をいただいて、主催者の皆さま、ありがとうございました。

 なお、大阪弁護士会の公害対策・環境保全委員会・都市環境部会さんではこの問題に継続的に取り組んでいくとのことでしたので、保存運動をされる方は相談を持ちかけられると良いと思います。

 また、直近でいうと、精華小学校敷地のコンペが受付を閉め切って審査中ですので、ご注目をお願いします。

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2013年1月13日 (日)

建売住宅のバリエーション(堺市東区)

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こういう建売住宅を郊外でよく見ませんか?
建設時期は昭和40〜50年代ぐらいかなあと思います。

もっと古い長屋でもそうですが(長屋の場合はタイルを使い分けることがよくありますね)、本体は共通しつつ、隣とは部分的にデザインを変えることがよくあります。堺市東区のここでは7軒ほど並んでいて、そのバリエーションが面白かったので紹介します。

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見比べて気付いたデザインのポイントはまず2階バルコニーの手すりと戸袋です。
まず基準としてこの形を覚えて下さい。

手すりはジグザグとビン型の組み合わせ。
戸袋はだんだん大きな長方形を積んでいったような形です。

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手すりが花形。
戸袋はたぶん改修されてサイディングが張られています。

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手すりはつぼみ型。
戸袋は真ん中に突起。
以下説明は省略しますが、変化を見比べてみてください。

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松に隠れて手すりの模様が見えにくいので、形の分かるところも出しておきます。

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一方、1階部分では、玄関ひさしの持ち送りもバリエーションのポイントになっていました。
この家は一軒の左右で違います。
これも見比べてみてください。

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この建売住宅の場合は違いを出すことにとくに頑張ってるように感じます。
これ以外に面格子で変化を付けている場合もありますが、こういうバリエーションに注目すると昭和40〜50年代の建売住宅にも楽しみが広がるのではないでしょうか。

<関連記事>
 「堺東の60年代住宅」

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2013年1月12日 (土)

五條の気になる建物

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五條は行くたびに気になる建物があります。
まちなみが整備されているのは国道168号線の西側の街道筋ですが、東側も興味深いエリアです。
今回であったのは、この洋風の建物。
実際は和風の建物で、正面だけ洋風の看板建築風です。

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玄関のあたりも持ち送りなどちゃんとデザインされていますでしょう。
地図上では印刷所の名前がありますが、見た感じは住宅です。

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屋根にアカンサスの葉が一枚。
こういうのを何飾りというのでしょう。

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また、東側は料理屋などが多かった地区に思われます。
こういううだつ?とは言いにくい飾りがユニーク。

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料理屋だったように思える建物。

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洋館部付き住宅で、水平にタイルが回されています。

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このときは第2回HANARARTに合わせての訪問です。
国道163号線沿いにある中家住宅は宝永元年(1704年)に建てられた元醤油屋さん。
うさぎの看板がはまっていますが、実はここのものではないそうです。

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五條の新町通りが町並み保存地区です。
イベントもこのエリアが中心です。

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ある建物では期間限定で、鉄道ジオラマの展示をしていました。
どうぞお上がりくださいと声を掛けていただいたのに、時間の関係でちょっとしか寄れなかったので申し訳なかったのですが。

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江戸時代末期の町家を改修したまちや館では、電子的な映像作品が展示されていました。
金魚が泳ぐ床(ディスプレイ)、光が踊る屏風など。

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2階でも障子や蚊帳に光線が投影されていました。
建物自体がスクリーンになったようです。

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一方で、戸棚の引き手に繊細な獅子の彫刻があり、ここにスポットライトを当てていました。
元ある良いものにも光を当てる仕掛けに好感が持てます。

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また、もう一つの観光施設であるまちなみ伝承館は、明治〜大正期の元医院。
アート作品に混じってこてなども展示されていました。

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スリッパは医院のスリッパ。

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中庭に開放的な廊下があります。

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障子のガラス越しに、廊下の透かし彫り。

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これも繊細な模様入りガラスが使われています。

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またこれはほんとに気になる建物。
洋風建築っぽい古そうな建物です。
表からならよく見えるかなと回り込んでみると・・・・

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表からも角しか見えないという。
いったいどこから入るのか、どの家に属しているのか、どんな機能なのか、とても気になります。

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最後に昔のデザインの持ち送り。
五條では気になる建物のデザインをたくさん見ることができます。

<関連記事>
 「五條のさくら井戸」 2012
 「奈良・町家の芸術祭はならぁと2012」
 「五條新町で近代のもの探し」 2011
 「五條の水のある風景」 2011
 「五條で書体三昧」 2011
 「奈良の町家で「はならぁと」開催中」 2011
 


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2013年1月10日 (木)

五條のさくら井戸

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昨年の奈良の記事が残っていますので、しばらくお付き合いください。
今までに何度か短く紹介しましたが、五條市で一番のお気に入りの場所「さくら井戸」を紹介します。
井戸と言いながら、こういう広い水場です。

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桜井ではなくて「桜泉」と書かれた額が掛かっています。

この井戸には伝説があり、
「弘法大師が水を求められた時、老婆がわざわざ離れた吉野川の水を汲みに行ったので、弘法大師が錫杖で地面を掘って水を出したと伝わる井戸」という説明板があります。
弘法大師が錫杖を突いたら水が出たという話は多いですね。

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ちゃんとシンボルマークもあるんですよ。
井桁に桜。よく出来ています。

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逆方向から。井戸は小さな崖下にあります。

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木が生えていたり、お地蔵さんが祀られていたり、水の中にもたくさんのお地蔵さんや仏塔があります。

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さらには金魚たち。

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道との段差には赤煉瓦の階段があります。

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休憩できるベンチもあります。

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この部分は洗濯場だったりしたのでしょうか。

清らかな湧水、宗教的なもの、職人の技、生活の場が一体となった魅力的な場だと思います。



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2013年1月 9日 (水)

朽ちた水車工場(大阪府河内長野市)

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河内長野市の奥、加賀田川に製粉工場があります。
川沿いにいくつも製粉工場があり、おそらくかつては水車を動力としていました。
河内長野市は生駒山麓とともに工業用の水車の多かった地域で、市内で最盛期には130基余りの水車があったそうです。

ここもその一つ。
川の上下に工場があり、荷物の昇降用らしいレールがあります。

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ここの水車がなんと朽ちながらもまだ残っていました!
2つの建物の間に挟まれるように水車があり、上流から引いてきた水路が水車の上に伸びています。
昔、山登りをしたときには、もっと上流の別の水車が動いていて、モグサの匂いが漂っていた記憶があります。
朽ちたとはいえ、水車工場の構造が分かるのは今となっては貴重ではないでしょうか。

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別の角度から。
工場の間に祠も見えます。

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よくこんなところに建物を建てたなと思えます。
簡単に解体できないから残っているのかもしれません。

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川側から見るとこうなっています。
突き出した建物の手前に、水車の羽根が顔を覗かせているのが見えるでしょうか。
かなわぬこととはいえ、この水車工場が復元できたら良い記録になるのにと思います。

*水車について調べていて、昨年末に、水車の小路のつなぐ会という団体が、京都の白川で「白川をつなぐ水車の竹中」というイベントを開催されたことを知りました。
 京都疎水から分かれる白川にもたくさんの水車があったのですね。
 知っていれば見に行ったのに残念です。
 →チラシ(PDF)

<関連記事>
 「ぐる博2008」
 「観心寺恩賜講堂 〜ぐる博2009〜」
 「東大阪ものづくりの源流-豊浦界隈」

<関連HP>
 河内長野市HP「郷土トピックス 〜水車〜」

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2013年1月 6日 (日)

西宮船坂ビエンナーレ2012(2)集落を歩く

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西宮船坂ビエンナーレ、旧船坂小学校の後は、集落に出て行きました。
茅葺きの古民家が並んでいて、奥の方が展示会場になっています。

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現在は空き家で、改修工事中です。
ちょっと一人では怖い雰囲気。スタッフがおられるので大丈夫ですが。お面を付けた子供たちが登場する少し怖い雰囲気の映像が上映されていました。
床も踏むとぎしっといいます。

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民家の間の小道。
とてもいい散歩道です。

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宇宙船のような作品。
子どもの秘密基地みたいですね。

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オーラを感じますが、これは普通の野菜直売所。

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えべす風呂と書かれています。
この小屋の床下で北アイルランドで撮影された、羊の毛で羊のためのセンターを編むドキュメントの上映がされていました。真ん中の扉を開けるとほんとにヨーロッパの農家の小屋みたいです。

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こちらの石垣にも作品があります。

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こういう陶器の小顔が潜んでいるのですね。たくさん。
精霊を思わせます。

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こちらはきれいな藁葺き民家。

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有料道路をくぐるところで見かけた老人用腰掛け。
ここで休憩する状況がよく分かりません。
夏の休憩スペース?

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道をくぐると、意外にも新興住宅地です。
その一角に、作品を展示する小屋がありました。

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セミの羽根とか、繊細なものが吊されていました。
ちょっと動いただけで揺れるので息を潜めて動くのですが、そうすると観察する感覚も澄んでくるのが面白いところです。

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電球ヒヨコがいっぱい。

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「空見ル段々休憩所」という作品。

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ベンチに座るとこんな眺めです。
ススキの向こうには紅葉の山並みのみ。

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ビニルハウスのフレームに竹が並べられた作品。
曇っていたのですが急に夕陽が射してきました。お天気次第で作品の見え方が変わってくるのも屋外展示の面白いところと思います。

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ところで、船坂の集落を歩いていて目立つのが、こういう水場です。
野菜を洗ったりするようです。

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空が映り込んだりして、それもまた良いです。
(ちなみに向こうの白い木は作品)

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帰りのバス停に向かうついでに、マップに「清水」と書かれていた場所が気になって行ってみました。
大きな木が目印になっています。

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湧き水が区切られていて、ここで洗いものなどをするのでしょうか。

亀岡の洗い場を思い出しました。
こういう風景はいいものですね。

木津川アートのときもそうだったのですが、作品そのものが場と響き合っているだけでなく、作品をたどることが、その地域の魅力的なものを見て回る仕掛けにもなっているという二重の仕掛けが、こういう地域型のアートイベントの場合うれしく思います。


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2013年1月 5日 (土)

西宮船坂ビエンナーレ2012(1)旧船坂小学校

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昨秋のことですが、西宮船坂ビエンナーレを見に行きました。
2年に1回開かれる里山のアートイベントです。
2010年に続いて2回目の開催です。
前回もお誘いいただいたのですが、今回ようやく訪問できました。

公式HPの開催趣旨説明

ところで西宮の船坂ってどこか分かりますでしょうか。


西宮市内といっても六甲山の向こう側です。
西宮か宝塚からバスで行きます。私は宝塚から行きました。
途中、蓬莱峡という景勝地を通って、その上ですからすごい所です。
有馬温泉に向かう街道の途中です。

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こういうのどかな風景のところです。

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※クリックすると拡大します

会場の小学校に地域の模型が展示されていましたので、これを見ると分かりやすいと思います。
緑の道でいうと、右に行くと宝塚、左に行くと有馬、右下が山越えで西宮、左上が三田に続きます。
なだらかな扇状地に田畑が広がっています。

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前置きが長くなりました。
今回はまずメイン会場の旧船坂小学校を紹介します。
小学校は集落の北寄りの斜面にあります。明治6年に開校した非常に歴史ある学校でしたが、平成22年(2010年)3月末に廃校になってしまいました。

メイン会場としてほぼ全体が使われています。
左のランチルーム棟では、案内所やカフェ、地元農産物の販売などが行われていました。
校庭の落ち葉は演出ではありません。

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校庭には二宮尊徳像。
皇紀2600年と書いてありますから、昭和15年のものです。
リアルな彫像です。

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教室に上がるスロープも落ち葉で埋まっています。

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2階建ての小さな学校です。
増改築を繰り返していて、沿革を読んでもいつの時代の建物か分かりにくかったのですが、最終的には昭和50年に増築がされているようです。

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玄関には横から入ります。

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そのまま真っ直ぐ行くとテラス状の廊下があって、教室が並んでいます。
吊されている風鈴は作品です。
とても眺めが良い場所。

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これは1階の廊下。

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窓の向こうにも作品がありました。
子供靴が空中を歩いていく不思議な作品。

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面白かったのがこの「Funasaka Symphony」という作品。
各画面では村の生活の音が聞こえます。
耕耘機や車、草刈り、水の音など。

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左奥の画面の指揮者が火の見櫓から指揮している形になっていて、それに各モニターの音が連動しています。

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私はこの学校の中でも二階への階段が気に入りました。
木の階段です。

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二階の窓からは目の前に裏山が見えます。

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影絵で投影される小学生の姿。
小学生の歌声が流れています。
しかし戸を開けた途端に全ては消えてしまいます。
昔話の世界のような。

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窓から差し込む柔らかな光。

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こちらもユニークなのですが、胎内記憶のドローイングだそうです。
3歳ぐらいまでは胎内の記憶が残っているそうなのですね。それを知った絵画教室の先生が、子供たちに描いてもらった胎内記憶の絵が、年齢や描かれ方で分類されて飾られていました。

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こちらはコンピュータとセンサーを使った作品。
観客の動きに合わせて波紋が広がります。

展示作品はたくさんあって、一つ一つは紹介できないのですが。
難解なものは少なかったように思います。

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通学路には下校する生徒への言葉が残っていました。

展示会場は集落全体に続いています。

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北余部の石蔵(堺市美原区)

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堺市美原区にある北余部(きたあまべ)の集落を歩いていると、凝灰岩らしき石の蔵を見かけました。
黒い穴の入り方が大谷石っぽいです。
大阪では普通、蔵は木造の土壁・漆喰で、石の蔵は珍しいのではないでしょうか。

北余部は、下高野街道と富田林街道が交差する場所にある集落です。

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普通は家紋が入る場所に、「吾唯足知」の紋が入っています。
家紋、ではないですよね。

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もう少し歩くとまた石の蔵がありました。
似たような蔵ですので、同じ職人さんかと思います。

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こちらには五葉の木瓜紋。これは家紋ですね。

これ以外には見つけられず、なぜ石の蔵なのかは分かりませんでした。


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2013年1月 3日 (木)

喫茶店の特注テーブル(大阪市平野区)

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平野で入った喫茶店、テーブルがとてもしゃれていました。

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一つ一つ柄が違っています。
思い切った柄ですよね。

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亀甲柄や十字の入ったものまで。
もしかしたら、どこかで見たことがあるような・・・という方もいるかも。

お店の方に尋ねてみると、実は浴室用のホーローパネルを使った特注のテーブルなんだそうです。喫茶店をされるときにいろんなテーブルを検討されたものの、気に入ったものがなくてこの方法を思いつかれたとか。
建材の余りを使っていて、浴室用ですので水、傷や汚れにも強く実用的。
もう何十年も使われているそうです。

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コーヒーもこだわっていて、特に第4日曜日の平野町ぐるみ博物館の日には、明治時代に飲まれていたコーヒーの復刻版(ただしそのまま再現すると苦すぎるのでマイルドにしてあるそう)を出されていたりします。

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お店は茶坊主さん(大阪市平野区平野本町5-5-17)。珈琲屋さん博物館をされています。
平野郷の南の幹線沿いにあって、谷町線の平野駅からが近いです。
平野にお越しの際にはぜひ。

(関連HP)
 ○茶坊主さんのお店情報(グルメウォーカー)


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平野の洋風建築など(大阪市平野区)

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昨年の暮れ、平野に出かけてきました。
新之介さんや皆さんの記事を見て、前々から行こうとは思っていたのですが、なかなかタイミングがなかったところ、仲間のIさんからマップが送られてきて、この機会にと。

私はいつものように、近代や洋風建築を中心に紹介したいと思います。

スタートはJR大和路線の平野駅からです。
子どもの頃から関西線は使っていたのですが、今回降りてみたら駅前に古いお屋敷があって意外でした。

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駅前通りを歩いて行くと、「大日本紡績平野工場私道」の標柱。
帰ってから調べると、元は明治20年創立の平野紡績で、明治35年に摂津紡績に合併され、大正7年に尼崎紡績に合併されて、大日本紡績(現ユニチカ)になりました。
写真で見ると整然とした工場です。

昭和4年の写真(大阪市立図書館)

平野工場は昭和44年に閉鎖されて、後はマンションなどになっています。

(参考)平野郷HOPEゾーン協議会による平野郷の解説

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<大正14年頃? 二万分大阪市街全図>
※クリックすると拡大します

大正末頃の地図を見ると、杭全神社の西側に日本紡績平野工場と書かれています。
細長い池(環濠)で囲まれた街区が旧平野郷です。
その周囲に、平野撚糸工場、土井燐寸(マッチ)工場、大阪インキ工場、直川織布工場などの工場が見えます。江戸時代から棉花の集散地だった歴史が、繊維産業へとつながったのですね。

旧市街と工場の関係は堺とも似ているように思います。
堺でも環濠の外側に工場が集積していきました。

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さらに進むと街の様子が変わって、ここからが平野の旧市街です。
曲がった道の左に環濠がありました。
真ん中にあるのは馬場口地蔵の地蔵堂です。平野郷に13あった出入口それぞれに地蔵尊が祀られていたそうで、詳しい解説は下記のリンクで。

十三のいま昔を歩こう「環濠集落・平野を歩く」

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その近くにあるのが平安末期創建の大念仏寺
今でもかなり広い境内のお寺です。
万部おねりで有名。

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昔ながらの郵便新聞受。

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奈良でたくさん見かけたアールデコ調の玄関灯。
このタイプはかなり量産されたんですね。

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洋風建築で、山口医院がありました。
掲示板に隠れていますが、丸窓もあります。

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昔の南海平野線の跡が遊歩道になっていて、鉄道時代を偲ばせるような装飾が施されています。
大正3年に西成区の今池-平野間で開業し、昭和55年に谷町線の延伸に伴って廃止されました。
先ほどの地図で既に平野までの地下鉄計画が出ていますので、随分時間がかかったともいえます。

十三のいま昔を歩こう「南海平野線・平野駅の跡」

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平野郷の南まで来ると、洋館付き長屋住宅がありました。

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こちらのお宅も洋館付き住宅のようです。
モルタル掃き付けのドイツ壁。

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角のクラゲのような装飾が面白いです。

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南側の幹線道路まで出ると、ここにも洋館付きの住宅がありました。

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ちょっと足を伸ばして、道の向こうへ。
大阪教育大学附属平野小学校があります。
この裏門、王冠型の窪みがあって、アールデコ調です。
調べると、元々この敷地は地元の誘致により、昭和2年に大阪府女子師範学校、附属小学校・幼稚園が桃山から移転してきたものらしいです。

敷地は不自然に余裕があって、興味をひかれます。

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再び中心部に戻って、アーケード商店街の中にある小林新聞舗本店。
明治22年創業の大阪市内で一番古い新聞販売店だそうです。
現在の建物は昭和4年で、登録文化財になっています。平野の代表的な近代建築。
新聞屋さん博物館になっていて、開館日を狙っていったのですが入れず。
年末だったからでしょうか。

近代建築でありながら、鍾馗さんが祀られているのが面白いですね。
平野は鍾馗さんをよく見かける気がしました。

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並びにあった建物の丸窓。
アートっぽい顔にも見えます。

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業種は不明ですが、この建物も扉や窓枠などに味があって良いです。

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今度は平野郷の北側まで北上して、国道25号線の向こうにある洋館付き住宅。
ひろの東本西走でも紹介されています。

ひろの東本西走「平野郷をテクテク」
 ただ、平野本町2丁目のK谷邸は今回見落としました。残念。

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最後にこれも国道25号線沿いにあるニシキ写真館。
ドアやショーウインドウの感じが良いです。

もう少しじっくり回ればまだまだ埋もれているものがある平野です。

<関連ブログ>
 十三のいま昔を歩こう「平野郷逍遙」
           「平野郷のまち歩き」 ほか


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2013年1月 1日 (火)

2013年を迎えて

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皆さま、あけましておめでとうございます。

いつも日常旅行日記を見に来ていただいている皆さま、なぜか検索すると引っかかるので見るという方、ありがとうございます。

年内の記事は年内にと思いながら、いくつか記事を持ち越してしまいました。
奈良の五條・御所など、西宮船坂、平野の記事などが残っていますので、また明日からしばらく紹介していきます。

今年の方針としては、
《積み残した約束を果たす》をテーマにしています。
 「ここに行きます!」といいながらそれっきりの場所がいくつかあります。
 そこを優先的に訪ねたいと思います。
(心当たりのある方、こそっと教えて下さい)

あとはこれまで通り、
○近代の公園めぐり
○近代の郊外住宅地めぐり
○旧街道の近代さがし
○レトロアパートの現存確認
○まちなかで気になったもの

 などやっていきたいと思います。
 あくまでさりげないところにスポットを当てて紹介していきたいなと思います。

いつも言っていることですが、
コメントをいただけるとたいへん励みになりますので、お気軽にコメントください。

>Instagramをされている方へ
毎日1枚ずつ、扉の写真をアップしています。
また不定期に、玄関灯や古い鍵など気になる小物を紹介しています。
アカウントはbinming22です。
このブログの右側にも表示されています。

それでは本年もよろしくお願いいたします。


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