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2012年10月

2012年10月29日 (月)

奈良・町家の芸術祭「はならぁと2012」開催中

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昨年に続き開催されている、「奈良・町家の芸術祭HANARART(はならぁと)2012」に行ってきました。
奈良県内6ヶ所の町家などを会場に現代アート、地域のアートを展示するイベントです。
会期は前期・後期に分かれていて、それぞれ開催エリアが違います。

<前期> 10/27(土)〜11/4(日)
 ○五條新町(五條市)
 ○御所市名柄(御所市)

<後期> 11/1(木)〜11/11(日)
 ○郡山城下町(大和郡山市)
 ○八木札の辻(橿原市)
 ○田原本寺内町(田原本町)
 ○三輪(桜井市)

つまり11/1〜4は、全地域で開催されています。

今回の特長として、出展作品が、
・公募した11組のキュレーターが現代アートを選んで展示する「こあ」
・地域の人や地域外の作家など様々なアーティストが自主的に開催する「もあ」
に分かれているそうです。
現代アートの芸術性を追う部分と、地域の人がどっぷり関わる部分を併せ持つ面白い試みだと思います。

私は街好き、建物好きの観点から紹介します。
また、作品に初めて出会う新鮮さのために、開催中はネタバレはできるだけ避けたいと思います。

まず、御所市の名柄から。
葛城山麓にある昔の宿場町で、木綿産業や菜種油などで栄えた集落だそうです。

御所の駅からは離れていて、土日は臨時バスが運行されています。
バスは近鉄御所駅前から出るということと、本数が1時間に1本ぐらいと少ないのでご注意ください。
私はJRの御所駅から近鉄駅前まで走りました。
(奈良交通バスで行く方法もあります)

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建物でお勧めは、旧名柄郵便局。
明治時代の郵便局です。
驚くのは中に入るとカウンターの向こうが廃墟になっていること。ちょっと衝撃の体験です。中庭にも入れます。

他に中村家住宅という旧代官屋敷、元旅館だったという建物、築80年の民家などにも入れます。

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面白いのが鬼瓦のコレクション。
この地域の柏原というところで大々的に鬼瓦が焼かれていたそうで、地元の方が解体される民家からゆずり受けた鬼瓦を展示しています。

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見比べることで、宝の袋や宝珠など吉祥物の表現方法の豊かさを感じることができます。

時間に余裕があれば、御所駅の東にある「御所まち」の町並みも面白そうです。

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次に五條。御所と五條の移動はJRが1本で便利です。
江戸時代中期の中家住宅などが会場になっています。

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五條新町は、五條駅から徒歩10分程度。
商店街をたどっていけば着きます。
こちらも宿場町です。

名柄と違って既に町並み整備が進み、観光化されていますので、「まちや館」など常設の町家施設がいくつもあります。
今回もそんな建物が会場になっていました。

こちら、中家住宅では、戸を閉め切ったところに浮かび上がる古代風の展示というのが良かったです。

1ヶ月限定リースで町家を借りて、鉄道模型の店をされている方もおられたりして面白いです。
こういうイベントをすることで、町家が開かれていくというのはいいことですね。

はならぁと情報としては以上ですが、
ついでに五條の情報も。

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通りにある老舗の餅屋さん。
午前中でもう饅頭が売り切れ。

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昨年の記事でも紹介したのですが、私の五條でのお勧めスポットはさくら井戸です。

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崖から清水の湧き出る大きな井戸で、金魚がいたり、お地蔵さんがおられたり、何かいわくありげな場所です。

<関連サイト>
 はならぁと2012公式サイト

<昨年の関連記事>
 奈良の町家で「はならぁと」開催中
 「はならぁと」のならまちを歩く
 「はならぁと」の大和郡山を歩く


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2012年10月22日 (月)

新潟さと歩き(3)十日町の木造工場

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新潟の十日町は絹織物の町です。
町のあちこちで板壁の木造工場を見かけます。
津南の元工場に続き、今回も木造工場を紹介します。

バスに乗った際、十日町駅の西側で木造工場2つが目に止まりましたので、後で見に行ってみました。
表通りからは1本引っ込んだ場所にあります。
マップで見ると紬を作られている根啓織物さんの工場らしいです。

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反対側から。
2つの工場が渡り廊下で連結されています。
雪深いこの地では渡り廊下が冬場に必要なのかもしれません。
あるいは織物を雨に濡らさないためか。

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もう一つの工場はこちら。
どの工場も細長くて似ていますが、それぞれに違います。
この工場の屋根は片側が寄せ棟で、反対側が切妻。

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反対側から。
この工場も2つの工場が連結されています。

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(株)山モ庭野工場と書かれています。
下見板張りの壁に、縦長の上げ下げ窓がレトロな雰囲気。

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入口も木の扉のままです。

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十日町の体育館に近い工場。根善織物さん。
2棟の工場が直接連結されています。

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現代美術館「キナーレ」の裏手にあった工場。
表札によると生糸商の高三商店さんです。
保税工場の表示もありました。

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三角屋根の建物から両翼が伸びるきれいなデザイン。
両翼を建て増したようにも見えます。

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これも「キナーレ」の近くです。
住宅のようでもありますが、生糸卸の高貞株式会社さんの連絡所となっています。

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板壁が複雑な形です。

十日町はもともと麻織物(越後縮)の産地だったのが、幕末に絹織物に転換、時代に合わせて変わり続けてきたそうで、現在も着物の町として生き残っています。
この地で「大地の芸術祭」が開催されているのも、芸術性のある絹織物を作っていることが素地としてあるのかなと感じました。

(参考)
 「織物の系譜 十日町市織物のあゆみ」

<関連記事>
 ○新潟さと歩きシリーズ
 (1)大地の芸術祭2012
 (2)津南の木造工場など
 (3)十日町の木造工場
 (4)囲うと溶かす
 (5)大地の芸術祭・十日町会場
 (6)除雪車のダンス
 (7)文字通り小千谷
 (8)土の学校
 (9)眺める部屋
 (10)絵本の学校
 (11)泊まれる学校
 (12)松代の街道(完)

 ○これまでの新潟の記事の目次


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2012年10月15日 (月)

大正アパートの門柱(大阪市西成区)

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西成区の玉出西1丁目を歩いていて、きれいな門柱が目に止まりました。
表札には「萬昌ハウス」とあります。
ちょうど補修作業をされているご主人がおられたので尋ねてみると、大正時代に建てられたとのこと。

5月にはアーチにバラの花が咲くので、写真を撮りに来られる方もいるそうです。

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全体はこんな感じです。
南北方向に2列に部屋が並んでいて、この写真は西側から。
かなり改修はされていますが、木造のレトロアパートですね。

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東側はこんな感じです。

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門からは建物を回り込むように通路があって玄関なので、よく見えません。

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窓の形が扁平アーチで、セセッションぽいというと言い過ぎでしょうか。

廊下などは阪神大震災のときに補修しているそうです。
住人の方は高齢化しているようですが、部屋が空いても新しい人は入れないとのこと。
ちょっと寂しいですね。

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玄関脇のくぐり戸がまた良くて、ここは変わってなさそうです。

バラの季節に改めて訪ねたいと思います。


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2012年10月12日 (金)

生糸検査所からKIITOへ(神戸市)

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昭和2年・7年に建てられた旧神戸生糸検査所が、デザイン・クリエイティブセンター神戸(通称KIITO)として生まれ変わったということで、見学に行ってきました。

>改修前の見学会の様子 地上部 地下

三宮駅からの地下通路を出ると、賑やかな一団に遭遇。
先頭は巨人の人形です。運の良いことに「いざないの実験」という三ノ宮駅からKIITOまでのパフォーマンスの一行でした。巨人や魚人にぞろぞろ付いて歩くと楽団やダンサーなどが現れ、KIITOに導かれます。

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KIITOに到着。
外壁もきれいに塗り直されています。
この部分は昭和7年に建築された新館で、後ろに昭和2年の旧館部分があります。

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玄関部分。
上から降りてきているのは、蚕の頭をモチーフにした飾りです。

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美しい玄関はそのままで、手すりや点字鋲などが追加されています。

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※クリックすると拡大します

1階の平面図。
建物は4階まであります。
地下は公開されていないよう。

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カフェは面白くて、生糸の水分検査機をテーブルに使っています。

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ホールに向かう廊下の脇に、工作機械が!
地下室にあった工作機械に思わぬところで再会です。
うれしい配慮です。

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ホールの外側にあるギャラリースペース。

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ホールでは、「ちびっこうべ」というキッザニアのようなイベントをやっていました。

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※クリックすると拡大します。

2階の平面図。
実験的活用スペースには入れませんでした。

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ちゃんと生糸検査所ギャラリーという部屋があります。

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生糸の検査工程に沿って、実物が展示されています。
パネル展示だけではないのがいいですね。

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面白いのは、随所に生糸検査所時代の備品が再利用されています。
例えば、資料棚に使われているのは生糸検査用の台車。

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このテーブルも再利用。

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資料ケースも昔のトレーです。

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改修されたエレベーターホール。
文字盤は元のデザインが生かされています。

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ホールの屋根を見下ろしたところ。
全面的にきれいになっています。

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木の扉が昔のままの廊下。

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以前、生糸検査所の記録映像上映会があった会場は、そのままセミナールームに使われているようです。

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3階の実験的活用スペースには期間限定でCAPさんが
おでかけして、いろいろなイベントをするようです。
このテーブルはバーです。
この一画はあえて塗装を塗り直さず、実験的に使えるよう、そのままにしてあるそうです。

他に上の階にはクリエイティブ系の事務所スペースもありました。

これだけの大きなスペースを転用していることに驚きます。
大阪ではいい建物が活用されずに解体される例が続いていますので、この施設にはぜひ成功して、よその街をうらやましがらせてほしいと思います。

<関連記事>
 「旧神戸生糸検査所・地上部」
 「旧神戸生糸検査所・地下」
 「新港貿易会館」・・・隣の建物

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2012年10月 8日 (月)

杭瀬のアーケード(尼崎市)

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以前、仕事で尼崎の杭瀬を通ることがあり、商店街が気になったので、後日見に行ってみました(6月のことです)。
アーケードが縦横に走っていて面白かったので紹介します。
東西の短いアーケードがあれば・・・

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南北の細長いアーケードも。

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アーケードがクロス。

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車道をまたぐ部分にも屋根がかかっています。

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ここは低い簡易なアーケード。

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西側にもかまぼこ屋根のアーケード。

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その先も延々と続いています。
・・・と多様なアーケードが楽しめます。

商店街によって形式はバラバラなのですが、半透明の屋根から採光する形が共通していますので、光の帯に統一感を感じて私は好きです。

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2012年10月 7日 (日)

新潟さと歩き(2)津南の木造工場など

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越後妻有の「大地の芸術祭2012」で、最初に向かった会場は津南エリアでした。
十日町からさらに列車で長野方面に向かい、津南駅で降ります。
駅はまちの外れにあるので、ぐっとのどか。
(ちなみにこの列車はイベント仕様のアート列車です)

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この駅、温泉があれば野菜の種も売っているという複合施設です。もちろん土産物も。

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信濃川を越えて、町の中心に向かいます。

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この地域は家の脇に池が掘ってあります。
旅の後半に聞いたのですが、これは除雪した雪を溶かすためのものなんですね。
そこに錦鯉を飼ってしまう。雪深いこの地方ならではの面白い仕組みです。

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神社が見えたので寄ってみました。
熊野三社宮と書かれていました。ここにも熊野信仰があるのですね。
格天井には花鳥の板絵が描かれています。

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境内には石が並ぶ一角があって、これはお墓ではなく、庚申塔です。
道教由来の風習で、庚申の日(2ヶ月に1回回ってくる)に人間の中に住む虫が天帝にその人間の悪事を報告に行くので、それをさせないために皆で徹夜して勤行したり、宴会したりするという庚申待ちという行事に関連しています。

他にも道祖神があったり、いろんなものが混ざり合っています。

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寄り道しつつ、会場の関芳機織工場跡に着きました。
昭和48年に建設された工場なのですが、その時点で解体された小学校の部材を使って建てたそうなので、もっと古いものです。学校っぽいですよね。>彦根の元中学校も似た形
布を広げて染織したりするために、細長い建物を使うそうです。

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1階は窓を閉め切って、Tシャツを照明器具のようにした幻想的な展示がありました。
背後には針金のハンガーが大量に壁を覆っていました。

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2階に上る階段などを見ると、小学校の名残を感じます。

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懐かしいガラス戸をくぐって2階の部屋へ。

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窓を開け放した開放的な空間。
天井に化学繊維のワイヤーそしてハンガーが吊されています。

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借景の津南の農村風景が美しい。
窓で切り取られてパノラマ写真のようです。

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木製の腰掛けはもともとあったものでしょうか。

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床下にも、住民の持ち物を使ったインスタレーションがありました。

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もう一室、面白かったのが地域の人が質問を書いた短冊。
小瓶とともに吊されています。
来た人がピンクの紙に答えを書いて瓶に入れるとだんだんピンクに染まっていく、というコンセプトらしいです。

これは「お姫様になるにはどうしたらいいですか?」という中学生の質問ですが、「私が遊ぼ!と言ってもむしするんです!どうすればいいですか」(小学生)という切実なものから、「思いやりって何ですか」という哲学的な質問、「パパとママに喜んでもらうにはどうすればいいですか」といったかわいい質問まで、見ているだけで地域に暮らす人の思いが浮かび上がります。

神社の絵馬なども見ていると面白いですが、それを推し進めた感じ。
「この場でする必然性」があって「地域との相互作用」があって「美しい」。
こういうのは現代アートならではだなと思います。

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回答はこういう記入用紙に書きます。
私も1枚書きました。
人気のため、ピンクの紙がなくなったのかな。

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近くにあるもう一つの会場へ。
「建具ノモリ」という、扉など建具を組み合わせて、山並みのような、ピラミッドのような構造をつくっています。それだけでなく、中に地域特産品の売店まで入れています。
写真は地酒を売る酒屋さん。

この地域、冬は雪に埋もれるので、大事なものはみな雪囲いがされています。
そういったことも連想させます。

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近くを旧街道が通っていて、古い旅館が残っています。

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おまけ。特産品の雪の下にんじんを使ったジュース。
甘いです。

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松屋さんというケーキとパンの店をお勧めいただいたので、昼ごはんにパンを買いました。
昔なつかしいパッケージです。

列車の本数が少ないので、最後は走るのに近い勢いで駅に戻りました。教えてもらった喫茶店にも行けず、もう少しゆっくり巡りたかったなという気もします。

<関連記事>
 ○新潟さと歩きシリーズ
 (1)大地の芸術祭2012
 (2)津南の木造工場など
 (3)十日町の木造工場
 (4)囲うと溶かす
 (5)大地の芸術祭・十日町会場
 (6)除雪車のダンス
 (7)文字通り小千谷
 (8)土の学校
 (9)眺める部屋
 (10)絵本の学校
 (11)泊まれる学校
 (12)松代の街道(完)

 ○これまでの新潟の記事の目次


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2012年10月 5日 (金)

精華小学校敷地活用のプロポーザル募集が予告されました

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10/1、大阪市が所有するもと精華小学校の敷地の活用について、プロポーザル方式で募集することが、大阪市のホームページに掲載されました。

 大阪市HP「もと精華小学校・もと精華幼稚園跡地の事業予定者をプロポーザル方式により募集します」(2012.10.1付)

年度内に決定するとは書かれていますが、まだ詳細な日程や条件などは示されておらず、詳細は随時更新していくそうです。(そういうものなんでしょうか?)

現時点の感想としては、
○精華小学校が寄付によって建てられたことや歴史・魅力の継承に触れていること
○単なる価格競争で選ばないこと
 が示されたのは良かったと思います。

ちょっと気になるのは、
○既存の建物のデータが示されていないこと
○建物の「意匠」などを継承するとされていること
○北側330平方メートルには地元住民がコミュニティ施設を「建設」するとなっていること
 などの記述です。

今ある校舎をうまく活用する提案が揃うことに期待したいと思います。
詳細が出てくればまた印象が変わるかもしれませんので、今後出てくる詳細情報に注目します。(※10/5時点の市ホームページをもとに書きました)


<関連記事>
 「大阪の誇り・旧精華小学校」
 「増田清建築ツアー(2)精華小学校と新世界国際劇場」
 「精華小学校の利活用を考えるフォーラム」

<関連サイト>
 ○精華校園利活用事業コンソーシアム
 ○精華小校舎 愛好会
 

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