« 藤井寺のレトロ・アーケード | トップページ | 花苑都市・藤井寺経営地(後編) »

2010年8月14日 (土)

花苑都市・藤井寺経営地(前編)

100807fujiiderak2
近鉄南大阪線・藤井寺駅の南に、大鉄(のち近鉄)が開発した郊外住宅地・藤井寺経営地があります。
藤井寺駅ができたのは大正12年。そして、大正14年から昭和3年にかけて藤井寺経営地が開発されました。設計者は関西で活躍した造園家である大屋霊城です。

エリアの南には辛國神社(上の写真)があります。
なぜか郊外住宅地に古い神社は付きもの。
求める立地条件が似ているのか、神社の杜を計画に取り込もうとしたのか。

辛國神社は格式ある神社で、由緒によれば、約1500年前の雄略天皇時代に物部氏がこの地を賜り、氏神である饒速日命(にぎはやひのみこと)を祀ったのが始まりとのことです。渡来系氏族との関係も伺えるとのことで、興味深い神社です。室町時代に河内国守護の畠山氏が現在地に神社を造営し、春日大社から天児屋根命を懇請して合祀したので、春日大社との縁もあります。

100807fujiiderak18
藤井寺経営地で特徴的なのは、藤井寺教材園という庭園があったことです。敷地は2.2万坪。小中学校の生徒に自然科学の資料を提供する目的で、中央には自然の松林、周囲に水中動植物養殖池、果樹園、蔬菜園、温室、動物舎などが配されていました。大屋霊城の先進的な取り組みです。しかし残念ながら早くも昭和8年には廃されています。(吉田高子「近代住宅地と関連の建築」、p68〜69、『大阪府の近代化遺産』所収。wikipedia「藤井寺教材園」

跡地は大阪女子短期大学とURの春日丘団地になっています。
上の写真では高い松のあるあたりから向こうが教材園跡です。
高い建物は大阪女子短期大学の建物です。

100807fujiiderak1
もう一つ特徴的なのは藤井寺球場があったことです。
藤井寺経営地の計画に入っていて、阪神甲子園球場に対抗する形で昭和3年にできました。ちなみに甲子園の計画にも大屋霊城が関わっているそうです。残念ながら2005年に取り壊され、このモニュメントが立っています。かつてのバファローズファン(熱心なファンではありませんでしたが)としてはさびしさを感じる場所です。向こうに見えるマンションが外野席のあたりで、そこから手前に球場がありました。右に見えるのは四天王寺学園小学校です。

100807fujiiderak3
前置きが長くなりましたが、住宅地を歩いてみましょう。
前編では春日丘1丁目・2丁目を紹介します。

球場跡のすぐ脇に、和風の春日丘会館が建っています。
住宅地に会館は付きもの。

100807fujiiderak4
門の脇に「皇紀2600年記念 春日丘会」(昭和15年)の国旗掲揚台が立っているので、古くからの会館かと思います。

100807fujiiderak17
場所が飛んで辛國神社の南側。
このあたりが住宅地の境界(右側が住宅地)で、ここに下見板の倉庫が建っています。

100807fujiiderak8
この境界をたどっていくと段差があります。
低い方が住宅地で、ゆるい丘陵地の地形になっているようです。丘の上には古墳などがあります。

100807fujiiderak5
スパニッシュの入った敷地の大きな住宅。
スパニッシュと和風の折衷なのでちょっと変わった感じです。

100807fujiiderak6
近くにもう一軒。こちらもかなり大きな洋風のお屋敷です。

100807fujiiderak7
こちら裏側なんですが、大きな木造の小屋のようなものがあります。

100807fujiiderak9
洋風の蔵。蔵で洋風っぽいのでちょっと変わっています。

100807fujiiderak10
洋館付き住宅もあります。
ユッカもセットで。

100807fujiiderak11
この住宅地は全体にゆったりしています。
生け垣も手入れが行き届いていて、環境良好です。
とくに2丁目のあたりはゆったり。

100807fujiiderak12
洋館付き住宅の変則パターン。

100807fujiiderak13
洋館付き住宅の洋館部ダブル。

100807fujiiderak14
この洋館付き住宅の車庫には鍾馗さんがおられました。
踏まれている鬼がとってもリアル。

100807fujiiderak15
杉皮壁の和風住宅もあります。

100807fujiiderak16
これも洋館付き住宅。隅の部屋も三角の出窓が一風変わっています。

写真を見ても分かると思いますが、春日丘1丁目・2丁目、とくに2丁目のあたりは敷地がゆったりしていて、その分、建て替えられていないようです。ここで紹介した以外にも「本体は古いのでは?」と思える住宅はたくさんありました。思った以上に古い建物が残っている印象です。

藤井寺経営地の後編に続きます。

|

« 藤井寺のレトロ・アーケード | トップページ | 花苑都市・藤井寺経営地(後編) »

日常旅行(大阪)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73434/49133769

この記事へのトラックバック一覧です: 花苑都市・藤井寺経営地(前編):

« 藤井寺のレトロ・アーケード | トップページ | 花苑都市・藤井寺経営地(後編) »