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2010年5月13日 (木)

「中山岩太展」と神戸

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灘の兵庫県立美術館で開催中の「私は美しいものが好きだ。写真家中山岩太」展を見てきました。
ポスターは美しい女性のモノクロ写真で、内容を知っている知人に教えてもらわなかったら見に行かなかったかもしれません。

中山岩太はモダニズム時代の有名な写真家なのですね。
東京・NY・パリに学び、大正から昭和にかけて芦屋・神戸を拠点に活躍して、昭和24年になくなった方だそうです。

展覧会は2部構成で、第1部は中山岩太のモダンぶりを紹介する展示です。
(詳しくないけど)ブロム・オイルプリントとゼラチンシルバープリントの2種類の写真があり、ブロム・オイルプリントは油絵や銅版画的な印象を受けました(レンブラントっぽい?)。ゼラチンシルバープリントの方はクール。いずれも私から見たら完璧としかいいようがない表現です。

また彼は様々な実験を行っていて、乾板を重ねてコラージュしてみたり、写真というより広告デザインの表現で、実際広告の仕事もしています。中でも福助足袋の福助がリアルにこちらを見ている写真がシュールでした。

第1部もいいですがこのブログで紹介する理由は第2部です。
第2部は「レトロ・モダン 神戸−中山岩太たちが遺した戦前の神戸」。中山岩太は神戸市の観光局に頼まれて神戸のみなと祭りなどを撮影しました。展示は中山岩太に限らず、川西英(版画)、小磯良平(絵画)、今竹七郎(グラフィックデザイン)、丹平写真倶楽部から、鉄道路線図、地図、記録映像に至るまで、多面的に戦前の神戸の街を紹介しています。相当気合いが入った展示です。

中山岩太の写す神戸は、雨に濡れてメタリックに光る街だったり、大きな近景が入ったり、やはりただ風景を写しはしません。

神戸の街の絵や写真では川崎造船所のガントリークレーンや建設が始まった高架軌道が目を引きました。

この写真展は2010年5月30日(日)まで開催されています。
 →公式ホームページ

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なお、この日はたまたま
連続レクチャー「“レトロ・モダン 神戸”を語る」
第2回「変貌する都市風景1930's~50's―昭和期神戸の光と影」
が開催されていました。

建築史家で神戸大学大学院准教授の梅宮弘光先生が講師です。
先生は最初に建築史家という職業への思いを語られました。建築史的にいいもの、美しいものだけを取り上げてきたのではないかと。
(この話を聞いて、近代のかけらを拾い集めている私のやっていることにも意義はあるのかもとも思いました)

その思いを踏まえて、今回紹介されるのが「写真」です。
それも空中写真。いいも悪いもあらゆるものが写っています。
私たちになじみがあるのは、国土地理院が公開している、1947年以降に米軍が撮影した写真ですが、今回紹介されたのは、神戸大学が所蔵する昭和11年(1936年)の神戸市の空中写真です。きちんとした空中写真と違って、低空から斜めに撮られた写真で、その分、街の様子がつぶさに分かります。
今回紹介されたのは40枚。全部で100枚以上あるそうです。

写真は須磨の海岸から東へと進みます。
須磨あたりには海岸沿いに戸建て、山手に長屋が連なっています。やがて長田区から兵庫区にかけて整然とした街区に囲まれた長屋群が画面を埋め尽くし、所々に小学校が浮かんでいます。海岸部の巨大な工場も見られます。ところが中央区の三宮あたりになると旧居留地の北側では非常に雑然とした街並みになります。そして灘区になるとまた整然とした長屋群が登場します。

当たり前ですが、米軍撮影の空中写真は戦災後の姿。
この写真では市街を埋め尽くす長屋の姿が映し出されていました。戦後の写真から想像で補っていた街の姿を初めて目の当たりにした気がします。
何らかの形でこの写真を公開してもらえないものかなと思います。もっとじっくり見てみたい気がしました。

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