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2009年7月12日 (日)

南島町周辺の洋風建築(堺市)

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堺の戦前の公園である外山公園を訪ねて、七道に行きました。
公園の話は次回として、南海本線・七道駅から外山公園に向かう、鉄砲町、三宝町、南島町のあたりに洋風を感じさせる建物がいくつもあったので紹介します。

まず七道駅を出る前に、ホームから宏大な更地が目に入ります。
以前はダイセルの堺工場がありましたが、阪神高速大和川線の予定地として2008年に大部分取り壊されています。
ダイセルのルーツである堺セルロイド株式会社は明治41年にこの地で創業し、ここには明治〜大正期の煉瓦建築の工場が建ち並んでいました。

以前、網干のダイセル異人館の記事で取り上げた日本セルロイド人造絹糸など8社合併で、大正8年(1919年)、大日本セルロイド(株)、のちダイセル化学工業(株)となる流れです。

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今では1棟だけが残されています。
どう使われるのでしょうね。

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<1万分の1地形図 堺東部(大正10年測図)>

大正10年の七道駅周辺には、東側に大阪織物会社があります。西側には合併したばかりの大日本セルロイド(株)を除けば、南島の旧集落と畑地が広がるばかり。
しかし、その後、大正5年から11年までの耕地整理の実施や交通の発達で工場建設が進んだそうです。(『角川日本地名大辞典 大阪府』、p1167)

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高架駅のホームからもよく見えるのですが、駅前に洋館付き住宅があります。

090530nantou4屋根に2本、パルメット(ナツメヤシ)文様の立体の鬼瓦(?)が天を突いているのが目立ちます。

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そのまま西へ、三宝町を歩いていくと和風の中に洋風を感じさせる住宅がありました。
入口のアーチもそうですし、六角形の窓なども付いています。

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戸口上の桟がモダンな和風デザインになっています。

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また表通りには3軒並びの洋風長屋がありました。

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寄り道で、ちょっと面白いサボテンの生垣も。

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交通量の多い国道26号線をはさんで西側は南島町です。
ここに銅板張りの目立つ和洋折衷のN家住宅があります。

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門塀は堺らしく煉瓦積みです。
焼過ぎ煉瓦をはつって積んである風合いが美しい。

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ちなみに刻印は日本煉瓦(株)と推定される四弁花の刻印でした。

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南島町にも洋風長屋があります。南側に回ったところ。
『大阪府の近代化遺産』にも「南島町の貸家」として掲載されていて、昭和12年の建築だそうです。
どうもこの辺りには、洋風の雰囲気をもつ建物が多いようです。

これ以外に工場労働者向けなのでしょう、戦後の(関西でいう)文化住宅、アパートがたくさんありました。

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旧集落の外れにあった月洲(つきす)神社は今もあります。
案内板によると宝永元年(1704年)の大和川付け替えにより、この付近一帯に流砂が堆積して洲が形成されるにいたり(=築洲)、元文2年(1737年)、現松原市の土橋弥五郎により新田開発が行われるに際し、その無事を祈願してこの神社が創建されたそうです。
ちなみにこのクスノキは堺市内最大らしい。

その新田が近代には堺の工業地帯となっていきます。

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静かな道を歩いていくと日本伸銅(株)本社がありました。
昭和13年に設立された大阪黄銅(株)が前身で、戦時中はジュラルミンを生産していたそうです。かつての軍需工場ですね。
その事務所棟として古い建物が残っています。

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玄関はタイル張りの丸柱に、雷紋のような装飾も入っています。
しかし、この裏も阪神高速大和川線のルートですので、果たして残るでしょうか。
・・・と思ったのですが、大和川線はほとんどの区間、トンネルなのですね。
騒々しくなりませんようにと思います。

(追記)
 後で知ったのですが、南島町には長屋カフェがあるのですね。
 機会あれば行ってみたいと思います。

 ○アカリ珈琲(食べログ)
  堺市堺区南島町2-59

(2009.8.17記)  

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コメント

工場とモダンな住居って組み合わせ関係って
立地的なもんがあるんでしょうかね?
モダン住宅=役員、幹部の住宅てな関係?
だとしたら労働者の住居は、どのあたりに分布?
なんて前々思いつつ、実証できていません。

投稿: 路爺 | 2009年7月17日 (金) 00:25

工場とモダンな住居との立地的な関係、あると思います。
今まで意識したことはないですが。
例えば紡績会社の幹部の家がどのあたりにあるのか、などと考えると面白いですね。
労働者の住居は、工場から近いのではと思います。
社宅やアパートのようなタイプでしょうか。

投稿: びんみん | 2009年7月17日 (金) 02:02

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