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2009年4月

2009年4月29日 (水)

粋な夜間サービス

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「あれ、こんな照明あったっけ」
岡三証券大阪店の前はいつも通る道ですが、いつの間にか雰囲気のある玄関の照明が付いていました。
ついでに車止めも頭の丸い円柱に変わっています。
前に撮った写真を見ると、そのときは、ない。
これがあるだけで、ちょっと素敵な街角に。
夜は玄関は開かないので、美的な意味で付けたようです。
夜道に助かりますし、粋なサービスだと思います。

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岡三証券大阪店は、同社のHPによると、昭和29年(1954年)10月に竣工し、当時はまだ珍しかったエレベーターが付いていたそうです。

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<部分>

玄関のステンレスの装飾は、同じ戦後建築の鹿児島銀行大阪支店に通じるものを感じさせます。

以下の3枚は、鹿児島銀行大阪支店。昭和27年(1952年)、大阪市中央区安土町2-5-11、設計:渡辺節建築事務所。

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(追記)
 鹿児島銀行大阪支店は、2012年10月に解体されたとのことです。(2012年12月30日記)

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2009年4月25日 (土)

北白川・小倉町住宅地(京都市左京区)

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都文研の京都街歩きの続きです。
間を省略しますが、疎水に沿って北白川まで歩きました。

北白川の小倉町は、大正15年から分譲された古い住宅地です。開発したのは日本土地商事(株)で、藤井善助(美術館「藤井有鄰館」で有名な実業家)が設立し、片岡安を社長に迎えた会社です。
当初、売れ行きは悪かったそうですが、昭和3年から売れ始め、4期に分けた開発で昭和12年まで、最終的に19600坪が分譲されました。
(『近代日本の郊外住宅地』)

住宅地の中でも目立つのが、写真の京都大学人文科学研究所分館。昭和5年に義和団事件の賠償金で建てられた東方文化学院京都研究所です。東畑謙三が設計したスパニッシュ・ロマネスク様式の建物だとのこと。中国文化を研究するのになぜスパニッシュなんでしょうね。

東畑謙三という方は、この建物が最初の作品で、のちに大阪駅前ビル、筑波研究学園都市、インテックス大阪、千里ライフサイエンスセンターなどに関わり、近年まで活躍されています。全然印象が違いますけど。

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照明器具のような装飾の門柱です。
暖かみを感じる材質は凝灰岩でしょうか。

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研究所の近くにある住宅。
大きく育った庭木に埋もれて出窓付きの住宅があります。
このあたりは京大から近いので、京大教授の家などがたくさんあります。

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洛北ほどではありませんが、街路はゆったりと感じられます。

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煙突のある洋風住宅。

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びしっと塀のような生垣の足元には、ころころした生垣。
窓のバランスがちょっと変わった住宅です。

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角地の和風住宅。
苔むした門柱と力強い庭木が風格を増しています。

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車止めの石ですが、柱状節理の石(自然に多角柱に割れ固まった石)ではないでしょうか。
庭石のようです。

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地区の南側に、ちょっと面白いものがありました。
「小倉町 久保田町 西部 公同組合」と書かれています。
公同組合とは、戦時中に全国に広まった町内会のモデルとなったという説もある、京都独自の地域住民組織なんだそうです。

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地区の境を疎水が流れています(この写真は小倉町より南)。
疎水は小倉町を巻くように流れ、その向こうは低くなって京大キャンパスとなっています。

小倉町を歩いていると当時の京大教授クラスのステイタスや文化を感じます。

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2009年4月16日 (木)

洛北土地区画整理地区(京都市左京区)

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京都市左京区の萩児童公園は、洛北土地区画整理組合の施行区域内にあります。
この区画整理は京都でも早い時期のもので、昭和2年に組合が設立され、施行区域は下鴨地区北部の7万1400坪、南を疎水分線で区切られています。工事は昭和3〜5年、昭和9年に祝賀式が行われ、萩児童公園に記念碑が建てられました。それが上の写真です。
(参考:石田潤一郎氏「北白川・下鴨/京都」、『近代日本の郊外住宅地』所収)

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区域内に入って感じるのは非常に街路がゆったりしていること。
最低でも幅員6.5mの道路で、さらに1階部分で1間(1.8m)、2階部分で2間のセットバックがかかっていたそうなので、いっそう空が広くなります。

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改築・増築されている家も多いですが、昔の住宅がよく残っていると思います。
これなどは当初のものでしょう。

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門の周りを見るのも、郊外住宅地の楽しみのひとつ。
高低2段の門柱、モザイク状に貼りながら、岩の塊を残した塀など趣向が凝らされています。

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大和棟風の住宅ながら、どことなくモダン。

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スパニッシュ風(?)の京北教会。
戦前ではないとのことですが、雰囲気はあります。
郊外住宅地には教会が似合います。

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2軒並びの住宅。アーチのある玄関に少しスパニッシュが入っている?

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曲線のある低い門塀は、2軒でつながっていて、一体感があります。
路肩の石材は、この区域全体で残っています。

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こちらは抽象絵画風の門塀。

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北泉通に面して赤い三角屋根の洋風住宅が建っていました。
ランドマークのように非常に目立ちます。
窓枠もピンクでコーディネート。
生垣の緑に映えます。

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これが北泉通。東西の幹線です。
よくこんな道を付けたものですね。

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洋風住宅だけでなく、近代和風の住宅もあります。
洋風住宅の生垣に対して、和風住宅は屋根付きの板塀。

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北から南に縦断して区域界の疎水まで来ました。
この時は桜の満開までもう一歩という時期。
当時も今も環境のよい住宅地です。

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2009年4月 8日 (水)

萩児童公園とラジオ塔(京都市左京区)

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大阪都市文化研究会(都文研)の例会に参加して、京都市左京区の郊外住宅地を歩きました。
地下鉄の北山駅から歩き始めて、すぐに洛北土地区画整理組合(昭和5年竣成)の施行地に入ります。それについては別に報告しますが、施行地内に、萩児童公園という公園がありました(昭和15年指定)。
入り口は4分の1円弧のしっかりしたコンクリートづくりで、煉瓦タイルを貼った門柱4本が迎えてくれます。

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ジグザグに貼られたタイルはこういうデザインなのでしょうね。
ゆるい四角錐の頂部がかすかにアールデコ。

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公園の隅に、洛北土地区画整理竣工記念碑が建ちます。
記念碑は事務処理が完了して記念式典が行われた昭和9年のものです。

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公園の一角は一段高いテラスになっています(奥の部分)。
東京の震災復興小公園を設計した井下清は、「児童と成人の利用の錯綜を平面的に区画するよりは施設に於て特色づけ、児童の遊戯は成人の鑑賞となるも、成人の休養地は児童には何等感興なきものと為す如き「テレス」は、此目的を達する方策の実現である。」と述べているらしいので、この部分はそういうテラスでないかと思います。
東京の震災復興小公園は、全国の児童公園のモデルになっていました。

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案内役の方が気付かれたのですが、この公園の中にラジオ塔(ラジオ放送普及のために建てられ、ここからラジオが流れた)が残っていました!
JOOK(NHK京都放送局)の文字がありますので間違いありません。
→他のラジオ塔についてはこちら
ラジオ塔については、現存する物をネットで調べたりしましたが、この公園内のラジオ塔については見たことがありません。
今まで見たものは帝冠様式というか和風のものが多かったのに対して、これはシンプルでモダンなデザインです。

(追記)
 タイミングの良いことに、京都新聞にラジオ塔の記事が載りました。
 京都新聞2009年4月9日「ラジオ塔遺構、京に7基現存」
 この記事によると、京都で現存が確認されているのは、
 円山公園(東山区)、萩児童公園(左京区)のほか、船岡山公園(北区)、紫野柳公園(北区)、小松原公園(北区)、橘公園(上京区)、御射山公園(中京区)だとか。
 確認されたのは良いけれど、見つける楽しみがなくなったような・・・
 (2009.4.9記)

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またこの公園にはセセッション風の国旗掲揚台らしきものもありました。
比較的古いものが残り、思いがけず収穫のある公園でした。

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2009年4月 5日 (日)

南朝史跡の北畠公園(大阪市阿倍野区)

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大阪市阿倍野区王子町3丁目にある北畠公園を紹介します。
(昔の熊野街道と重なる)あべの筋に面する面積1897m2の小さな森です。
最寄り駅は阪堺電車上町線の東天下茶屋駅か北畠駅。阪和線の南田辺駅はちょっと離れています。

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入り口には立派な石の標柱で「史跡 北畠公園」とあります。
昭和14年11月竣工と刻まれていて、公園の開設は昭和15年1月1日です。

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入り口を入ると道がL字に伸びています。
左奥に何かがあるのが見えます。

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奥には「北畠顕家公墓所」がありました。

北畠顕家公は、後醍醐天皇の建武の新政の時代(1333〜1336年)、16歳で陸奥の守として奥州に下ります。1335年、反乱を起こした足利尊氏を討っていったんは九州に敗走させますが、九州から反攻した尊氏に後醍醐天皇は京都を追われ、1338年、再び奥州から出撃した北畠顕家は、堺の石津の戦いで戦死します。享年21歳。

この墓所は、太平記などの伝承により、江戸時代の学者・並川誠所の提唱で、享保年間(1720年頃)に建てられたものだそうです。
説明板が何枚もあって、北畠顕家公の事跡や上奏文が紹介されていました。
ちなみに標柱は大正8年のもの。

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墓所の向かいに公園の由来を記す石碑が立っていました。
内容は次の通りです。





昭和三年七月同志相謀リ北畠卿顕章会ニ集シ墓域拡張
修築ノ為篤志家ノ寄付ヲ勧奨シ其額五千四百余円ヲ得
タリ依テ年次祭典ヲ行ヒ墓域隣楼ノ民屋並宅地ヲ買収
シ以テ浄化拡築ヲ図ラムトセシニ時恰モ大阪市ニ於テ
史跡公園トシテ経営セラルルニ会セリ是ニ於テ其買収
ニ係ル宅地三十二坪八合ト残余金千二百円ヲ以テ事務
所六坪ヲ建設シ之ヲ大阪市ニ寄付セリ而シテ会計事務
ハ副会長田中直藏之ヲ掌理シ是ニ全ク結了ス依テ石ニ
刻シテ大方各位ノ高志ニ酬ユト云□
    昭和十五年五月二十二日
      北畠卿顕章会長正六位勲三等
                武岡充忠誌
                宮川黄石書

 ※旧字体は新字体に変更しました。

 つまり、有志の方々が北畠顕家公の墓域拡張のため、募金を募ってお墓の隣地を買収するとともに、6坪の事務所を建て、大阪市に寄付して公園としたということのようです。

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敷地の隅にあるこの建物が6坪の事務所にあたるものではないでしょうか。

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この施設では、地域の文化教室が開かれているようです。
顕信塾とありますが、北畠顕信(北畠顕家公の次弟)にちなむ勉強会でしょうか。
地域に根付いた施設になっていることが分かります。

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裏門の向こうには路地。
王子町の住宅地へと続いています。

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2009年4月 1日 (水)

「海岸通建物物語4」赤レンガに会いに行こう! 開催中

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4月1日(水)から大阪・天保山のステムギャラリー
4回目となる、「海岸通建物物語」が開催されています。
今年はサブタイトルが「赤レンガに会いに行こう!」
赤レンガの特集だそうです。

私も行きますが、皆さんもぜひ。
4月4日(土)には、煉瓦に詳しい大阪歴史博物館学芸員の
酒井一光さんの講演があります。

・・・以下、ステムギャラリーさんの告知文より転載。

 「海岸通建物物語4」

 会期:4月1日(水)-5月15日(金)
    日曜・祝日休廊
    (4月25日、5月2日、4日、5日、 9日は休廊)

 時間:午前11時-午後7時 

 料金:入場無料

 会場:ステムギャラリー
    (大阪市港区海岸通1-5-25 商船三井築港ビル1階)
    ※最寄り駅は大阪市営地下鉄・中央線「大阪港」駅

 たてものと歴史を愉しむ「海岸通建物物語」も
 4回目を迎えました。
 今年は、赤レンガに注目。
 松嶋真さん・森田タカシさん・大場典子さん・佐藤啓子さん
 による「赤レンガに会いに行こう!」写真展を開催します。
 天保山の築港赤レンガ倉庫をはじめ、
 日本各地に残る赤レンガのたてものを取り上げました。

[関連企画]
 「針穴の赤レンガに会いに行こう」
  写真展を、同ビル2階ぬきえもんにて(5月15日まで延長)
 「まちかどの近代建築」写真展
  隣の天満屋ビル2階お茶と雑貨のハaハaハaにて開催

 ○イベント

 4月4日(土)3時~
  酒井一光氏講演
  「煉瓦造の訴求力 -建築・遺跡・破片-」
   菓子お茶付き  参加費1000円

 8日(水)7時~
  HAZEL.A氏 「ペーパークラフトを作ってみよう!」
   あんパン飲み物付き  材料費込み、参加費1000円

 15日(水)7時~
  円満字洋介氏 「水上庭園天保山の江戸時代」
   あんパン飲み物付き 参加費1000円

 11日(土)5時~
  夕暮れの赤レンガを見に行こう!ツアー
   ワインおつまみ付き  参加費1000円

 18日(土)6時~
  岡崎紀子&佐藤啓子トークショー
  「近代建築を巡る旅は楽し」
   ワインおつまみ付き  参加費1000円

 ※イベントはすべて要予約です。
  メール、またはお電話(06-6599-2877)で
  お申し込みください。

 なお、ステムギャラリーの佐藤啓子さんが書かれた
 赤レンガ近代建築の本が書店に並び始めました。
 こだわりある素敵な本ですので、
 近代建築や赤レンガの好きな方いかがですか?
 
「赤レンガ近代建築」
 
(紹介文より)
文明発祥とともに造られ、長い歴史を有する煉瓦ですが、
いわゆる赤レンガが登場するのは、幕末、開国の頃。
明治になると、文明開化を象徴する建築材料として脚光を浴び
多くの洋風建造物が各地に建設されました。
重厚でエキゾチックな外観、独特の雰囲気を醸す壁面・・・
本書では、時代の息遣いを今に伝える赤レンガを全国に取材。
豊富な写真を駆使してその魅力を紹介します。

 著者:佐藤啓子

 コラム紹介
 酒井一光 : 「レンガ」と「煉瓦」の謎をとく
 高橋伸一 : 煉瓦と私
 馬場英男 : 舞鶴で赤れんがパーク整備計画進む
 林望    : 赤煉瓦の意味するもの 

 ◆判型:B6判 ◆並製 ◆総頁:160頁 
 ◆定価:1,890円(本体1,800円+消費税)

 →出版社・青幻舎のHP

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