« アットホームな東淀川駅 | トップページ | 明治のレンガ建築を買いませんか? »

2009年2月12日 (木)

阪南町の下見板住宅群 〜大阪市営北畠住宅

090211hannan1
堺の郊外住宅を紹介しようと準備していたのですが、すごいのを見てしまったので先に紹介します。

場所は大阪市阿倍野区の阪南町4丁目。あべの王子商店街のギャラリーに用事があり、JRの南田辺から歩いたのですが、地図を見ていて周囲と違う街区があるのに気付きました。8戸1街区が横3街区×縦4街区整然と並び、間の道が破線(未舗装)で表示されている区画です。
何があるか分からないけれど、確かめに行ってみるとそこには・・・

下見板の郊外戸建住宅群があったのでした。
和洋折衷で、黒い下見板に白い破風と窓手すりが鮮やかです。

090211hannan2
同じようなタイプの住宅が並んでいます。
改築されている住宅も多いですが、かなり原型を留めています。

090211hannan3
一角には「北畠自治会町会」と印された石柱がありました。
昭和13年に建てられた石柱です。

090211hannan4
破風のサイディングを白壁に変えればオリジナルに近いと思われる住宅。
玄関扉のオリジナルはよく分かりません。

090211hannan5

090211hannan6
植栽が豊か。

090211hannan9
出窓のある住宅。

090211hannan10
1階窓手すりのある住宅。

090211hannan11
2階窓手すり

090211hannan12
玄関上部のしゃれた門灯が特徴的で、恐らくオリジナル。

090211hannan13
側溝は石材のU字溝です。

090211hannan14

090211hannan15

090211hannan17
郊外住宅がこれだけ塊で残っているとは。
囲まれるしあわせ。

090211hannan18
こちらの住宅ですが、足元に煉瓦が積んであります。
煉瓦はこの家の方の好みだと思いますが。
煉瓦刻印を確認してみると・・・

090211hannan19_1 090211hannan19_2
<讃岐煉瓦(株)の刻印>   <六光星?やや不明瞭>
※上下反転しました

090211hannan20
ちょっと毛色の違うモダンな住宅もあります。
戸袋がユニーク。

090211hannan_t10
<阪南郊外精図・大正10年発行>

さて、阪南町の中でなぜここに異質な郊外住宅があるのか。大正10年の阪南郊外精図を見ると、ヒントがありました。
このあたり、桐山と呼ばれる森だったようなのです。
周辺は田畑なので、この森が「高燥の地」として、先行的に宅地化されたのでしょう。
阪南土地区画整理組合(大正13年〜昭和6年施行)の区域として、周辺もすぐに都市化していきます。

090211hannan_s2
<昭和4年発行・1万分の1地形図「長居」より>

もう一つ、東天下茶屋駅にある馬車鉄道の説明板に使われていた地図で、ベースに昭和4年の地図が使われています。水色で囲みましたが、この時点で既に宅地化していることが分かります。ということで、この住宅地の開発時期は大正末から遅くとも昭和4年までということになります。

これだけ郊外住宅地の雰囲気が味わえるところも珍しいと思いますので、一見の価値ありです。

(追記)  この住宅地は、大正15年に開発された大阪市営北畠住宅ということが分かりました。中産階級向けの月賦住宅104戸で、15年の返済期間後に譲渡されたものだそうです。
 穐山憲・蓮井睦子・宮岡大・小玉祐一郎さんの「大阪市営杭全住宅の住環境設計とその現状評価に関する研究 : その1 歴史的位置付けとその特色に関する考察(環境との共生,建築計画II)」(2001)を参照
 関連記事>大阪市営杭全住宅  (2009.12.16記)

|

« アットホームな東淀川駅 | トップページ | 明治のレンガ建築を買いませんか? »

日常旅行(大阪)」カテゴリの記事

コメント

最後の地図を見ると
まさに大大阪時代に出来た住宅地ですね。
もしかしたら市営住宅かな?

だとしたら今日の私の記事とリンクします。

http://atamatote.blog119.fc2.com/blog-entry-222.html

この時代大阪市は積極的に市営住宅の充実を図っていたようです。

投稿: 新之介 | 2009年2月13日 (金) 12:47

新之介さん、こんばんは。

すばらしい推測です!
新之介さんのヒントで調べてみたら、元市営住宅でした。
「あすの会」HP 『元大阪市営住宅 群』

昭和初期のものらしいです。
なぜ森を開発したのかも分かりました。
所有権の関係でしょうね。

軍艦アパートより古いものは残ってないのかと思っていました。
貴重な歴史的建築物群ですね。
80年以上たっても現役で、レベルの高いものを作ったものだと思います。

市営住宅なら図書館で調べれば、もう少し詳しいことが分かりそうです。
ありがとうございました。

投稿: びんみん | 2009年2月13日 (金) 19:38

こんばんは。

1枚目の写真を見たとき、あぁここ、ここ!とすぐにピンときました。
私は特に地図を見て着目したということはなかったのですが、昨年の3月にブラブラ探訪しているときに黒い下見板貼りのお宅が幾つも並んでいるのを見て、これは凄いと感嘆しました。

てっきり自分のブログにアップしていると思いこんで探して見ると無く、時期的にプラハ・ウィーン旅行記の間に埋もれてしまったみたいです(汗)。

古い地図から色んなことが読みとれるんですね。
素晴らしいです。

投稿: ひろ009 | 2009年2月13日 (金) 23:26

ひろさん、こんばんは。
この並びはインパクトありますよね!
記事にされなかったのが意外です。

古い地図は、その当時はどうということのなかった場所の情報まで載っているので面白いし、役立ちます。

投稿: びんみん | 2009年2月14日 (土) 02:27

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73434/44032310

この記事へのトラックバック一覧です: 阪南町の下見板住宅群 〜大阪市営北畠住宅:

« アットホームな東淀川駅 | トップページ | 明治のレンガ建築を買いませんか? »