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2008年11月 9日 (日)

諏訪公園と旧四日市市立図書館

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四日市に用事がありましたので、ついでに諏訪公園を見てきました。

近鉄四日市駅の東は繁華街で、幾筋ものアーケードが縦横に走っています。
イオングループの前身・岡田屋の店舗もこの一角にありました。しかしイオンなどの郊外店化でこの四日市駅前も寂しくなり、創業の店も閉鎖されて空き地になっています。

そのアーケードのひとつは旧東海道です。四日市の産土神である諏訪神社が旧東海道沿いにあり、参道として賑わっていたからでしょう、表参道スワマエ商店街となっています。

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こちらが諏訪神社。1202年に信州の諏訪大社から勧請されて創建と伝えられています。


より大きな地図で 近代の公園 を表示
この神社を鍵型に囲むように諏訪公園があります。
日露戦争時の明治37年(1904年)、諏訪神社がつくった「保光苑」という公園が前身のようです。(1905、6年という説も)明治40年(1907年)に四日市市の公園になりました。

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神社側から公園に入ると目に入ったのが大きな石の山。
「富士塚」か?と思ったのですがそうではなく、近寄ってみると「誓之御柱」と書かれています。
石段があって登れますが、登って何をするのでしょう。

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てっぺんには五角柱が建ち、「廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ決スヘシ」に始まる「五箇条の御誓文」が刻まれています。よくあるものなんでしょうか。私は初めて見ました。誓之御柱は、琵琶湖の多景島に立つもの(大正14年)が有名のようです。

この御柱は、四日市で肥料・製油・石炭・運送などの事業を手がけた村山清八氏により、市民壇(今は南部丘陵公園に移築)・国旗掲揚塔とともに私財を投じてつくられたもののようです。(『発掘街道の文学四日市・楠編』)市民壇は昭和9年だそうですので、同時期でしょうか。

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公園にはどの方向からも入ることができます。南側部分は1990〜95年に、地下調整池を設置するのに合わせて、中世ヨーロッパ調に改修されています。ただシュロがたくさん植わっているのは元からではないでしょうか。

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その広場に向かって、スクラッチタイルの建物が建っています。
立ち上がる4本の柱が印象的。
旧四日市市立図書館です。昭和4年(1929年)に昭和天皇御大典記念として、地元の実業家・熊澤一衛氏が建設・寄贈したものです。熊澤一衛氏は、昭和6年には四日市銀行(のちの三重銀行)、伊勢電気鉄道など37社もの会社経営に参画、四日市を代表する財界人でした。

この図書館はその後、様々な用途に使われます。
もともと諏訪公園には大正5年に建てられた木造の図書館がありました。

(追記)

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奥に見えるのが木造の図書館かと思います。(2010.1.3記)

しかし、昭和20年の空襲で木造建物は蔵書もろとも焼失、鉄筋建物は空襲負傷者収容のため、市立病院に転用されます。昭和24年に返還されて、昭和48年の新図書館建設まで図書館、昭和51年から児童福祉施設「こどもの家」、平成15年に登録文化財に指定されるとともに大改修を行い、すわ公園交流館として生まれ変わり、今に至ります。

以上、すわ公園交流館の概要を参照しました。

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この建物、結構いろいろと遊び心ある装飾があるんです。正面2階には本の形のレリーフに2588と刻まれています。起工の年である紀元2588年=昭和3年を示しているそうです。
軒下の飾りも装飾的です。

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左の壁にはモチをつくうさぎ。熊澤氏の雅号「月台」に由来するそうです。銅像を建てるより、こっちの方が素敵です。

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右手には藤川勇造作「小児像の噴水」。最初からあったものだとか。藤川勇造はロダンに師事した彫刻家です。
2階バルコニーもいいですね。

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内部はかなりきれいになっていて、昔の様子はよく分かりません。東側の階段室の手すりも真新しいものでしたが、デザインは踏襲されているかもしれません。窓からは公園の緑が目に入ります。この軸線上に誓之御柱があります。

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面白いのは、図書館の裏に1階分の盛り土があり、2階に直接入れるようになっています。のちの改造だとは思いますが。2階では子供たちが卓球で盛り上がっていました。

諏訪公園には、昭和戦前期を物語る寄贈物が並んでいます。時代背景にも関わらず、親しみやすい旧四日市市立図書館は、これからも愛されつづけることと思います。

○関連ブログ記事
 ぷにょさんのまちかど逍遥「近鉄内部線」

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コメント

重盛と申します。子供のころ、父と一緒に四日市の諏訪公園を訪れました。この図書館は、父のボスである熊沢一衛氏の寄贈であることを教えられました。懐かしく思います。この後、熊沢氏の一大コンツェルンは瓦解するのですが。ありがとうございました。

投稿: 重盛 靖 | 2013年11月 8日 (金) 08:28

重盛様、はじめまして。
エピソードのご紹介ありがとうございます。
熊沢氏にご縁があったのですね。この記事を書くまで、熊沢氏のことはほとんど存じ上げませんでした。
こうしてお話していただくことで、記事がふくらみます。
ありがとうございます。

投稿: びんみん | 2013年11月 9日 (土) 11:14

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